経理のスキルマップとは?作り方5ステップやスキルアップ術を解説

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経理のスキルマップとは?作り方5ステップやスキルアップ術を解説

経理職としてキャリアアップを目指すなら、自分のスキルを可視化できる「スキルマップ」の活用が効果的です。得意・不得意な業務や、足りない知識・経験を整理することで、日々の成長や転職活動がぐっとスムーズになります。

この記事では、経理のスキルマップを作るメリットから具体的な作成ステップ、さらにスキルアップにどう活かせるかまでを詳しく解説。今の自分を正しく理解し、理想のキャリアに近づく第一歩を踏み出しましょう。


【目次】

a href="#name1">経理のスキルマップを作成するメリット
 ・キャリアパスを明確に描けるようになる
 ・苦手分野やスキルの抜け漏れを客観的に把握できる
 ・転職活動時にアピール材料として使える
 ・成長の実感が得られる

経理のスキルマップの作り方5ステップ
 ・ステップ1:経理業務を大分類・中分類で洗い出す
 ・ステップ2:各スキルに習熟レベルを設定する
 ・ステップ3:業務経験・資格・ツールと関連づける
 ・ステップ4:今後習得すべきスキルをピックアップする
 ・ステップ5:定期的に見直し、更新する

経理のスキルアップを目指す方法
 ・取り組む優先順位を決める
 ・資格取得で知識の土台を強化する
 ・現場での業務経験を意識的に増やす
 ・未経験のITツールにも挑戦する

経理のスキルマップを活用し、自分だけのキャリア戦略を描こう


■経理のスキルマップを作成するメリット

キャリアパスを明確に描けるようになる
経理職には、一般経理から管理会計、財務、税務、さらには経営企画やCFOといった上級職まで、多様なキャリアパスがあります。しかし、日々の業務に追われていると、自分がどこに向かっているのか見失いがちです。

スキルマップを作成することで、自分がどの領域に強く、どの分野を伸ばすべきかが「見える化」されます。これにより、目指すキャリアに必要なスキルの習得計画を立てやすくなり、中長期的な視点で成長戦略を描けるようになります。

▶︎経理キャリアプランの選び方:新卒から10年後への道筋


苦手分野やスキルの抜け漏れを客観的に把握できる
スキルマップを用いて経理業務全体を構造的に整理すると、自分の強み・弱み、経験の足りない部分が浮き彫りになります。
たとえば「日常仕訳や請求書処理は得意だが、月次決算や原価計算の経験は少ない」といった経験値の偏りや、スキルの抜け漏れなどです。

スキルギャップ(企業が求めるスキルと自分のスキルとの差)が明確になれば、「これから何を学ぶべきか」を効率的に把握できます。自己研鑽の方向性がハッキリするため、時間を無駄にすることなく実力を高めていけるでしょう。


転職活動時にアピール材料として使える
経理のスキルマップは、自分の強みや経験を「見える形」で企業に伝えるツールとしても有効です。

職務経歴書や面接では、具体的な実務経験を整理しながら、どのスキルをどの程度保有しているかを提示することが求められます。スキルマップがあれば、単なる経験だけでなく「どの範囲までできるか」を具体的に示すことができ、説得力が大きく増します。
職種別のスキル要件と照らし合わせて、自己PRの材料として活用しましょう。

▶︎経理の職務経歴書の書き方完全ガイド|パターン別テンプレートを紹介


成長の実感が得られる
日々の仕事に追われていると、自分がどれだけ成長したかを実感しにくいものです。定期的にスキルマップを更新すれば、今までに比べて自分がどのスキルを身につけ、どのレベルまで達したかが一目瞭然になります。

数ヶ月前には苦手だった業務が今ではスムーズにこなせるようになっていたり、複数の分野での経験が蓄積されていたりと、自分の変化に気づけるでしょう。こうした「見える成長」は、仕事のやりがいや自信の向上につながります。


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■経理のスキルマップの作り方5ステップ

■経理のスキルマップの作り方5ステップ
ステップ1:経理業務を大分類・中分類で洗い出す
まずは、経理業務全体を大まかなカテゴリに分類します。具体例は以下のとおりです。

■日常経理業務
・現金出納管理
・伝票起票/仕訳入力
・売掛金/買掛金管理
・請求書/領収書処理

■決算業務
・月次決算
・年次決算
・試算表作成/確認
・勘定科目内訳書の作成
・減価償却/棚卸資産の評価

■税務対応
・消費税計算/申告書作成補助
・源泉所得税の納付処理
・法人税等の基礎理解
・税理士との連携/書類提出
・税務調査対応補助

■管理会計・財務分析
・予算実績差異分析
・原価計算
・セグメント別損益管理
・キャッシュフロー分析
・KPI管理

■業務改善・内部統制
・業務フロー/マニュアル作成
・チェックリストによる誤謬防止
・内部統制文書の作成/見直し
・会計監査対応

■ITツールスキル
・Excel関数/Googleスプレッドシートの活用
・BIツール(Power BI、Tableauなど)の使用経験
・クラウド会計(freee、マネーフォワードなど)の操作

企業の規模や業種、経理の人数によっては外注されている業務もあると思いますので、自分が携わる可能性のある経理業務を網羅的に整理し、スキル分類のベースをつくります。


ステップ2:各スキルに習熟レベルを設定する
次に、洗い出したスキルごとに自分の習熟度を評価します。たとえば以下のような5段階評価が有効です。

レベル1:未経験(知識なし)
レベル2:基本的な内容を学習中
レベル3:指示をもらいながら進められる
レベル4:一人で完結出来る
レベル5:指導・改善提案が出来る

この形式にすることで「どの分野の業務に」「どの程度の実力があるのか」を視覚的に把握しやすくなります。


ステップ3:業務経験・資格・ツールと関連づける
それぞれのスキル項目に対して「どの職場で経験したか」「保有資格は何か」「使ったツール・ソフト名」などを紐づけて書き加えると、実務経験との結びつきが明確になります。具体例は以下のとおりです。

・月次決算(レベル4)/前職で3年担当、10億規模までなら対応可/勘定奉行使用
・消費税申告(レベル2)/補助業務のみ経験あり

この情報は、転職時の職務経歴書や面接にもそのまま活用できます。


ステップ4:今後習得すべきスキルをピックアップする
スキルマップを一通り作成した後は、自分のキャリアプランと照らし合わせ、足りないスキルを洗い出します。たとえば「将来的に管理会計に強い経理職を目指したい」なら、原価計算・分析業務・KPI設計などが習得対象になるでしょう。

さらに、目指すキャリアによっては資格取得(簿記1級や税理士など)や研修・実務経験が必要になります。その目標も記載しておくと、学習の指針になります。

▶︎税理士になるには?押さえるべき最短合格の戦略と実務経験の積み方
▶︎簿記の資格って本当に就職、転職に役立つの?


ステップ5:定期的に見直し、更新する
スキルマップは一度作って終わりではなく、半年〜1年ごとに更新することで、自分の成長を可視化できます。
新しい業務を経験したときや、新たな目標ができたときには必ず反映し、常に「今の自分の位置」を正確に記録しましょう。

この習慣が現状と目標のギャップを可視化、自己成長を感じるきっかけになり、キャリアの軌道修正にも役立ちます。


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■経理のスキルアップを目指す方法

経理のスキルマップを作成した後は、それをどう活かしてスキルアップにつなげていくかが重要です。
ここでは、スキルマップをもとにした具体的なアクションプランを紹介します。


取り組む優先順位を決める
スキルアップを進めるうえで大切なのは、すべてを一度に伸ばそうとしないことです。時間や学習リソースには限りがあるため、自分にとって最も重要なスキルから着手しましょう。

優先順位をつける際には、以下の2軸で考えるのがおすすめです。

・目的
(例:「税務に強い経理職を目指す」「管理会計にも対応できるゼネラリストになりたい」)
・現状とのギャップ
(例:「月次決算は一人でできるが、法人税の知識が浅い」「予算管理の経験がない」)

この2つを照らし合わせると「目的に対して現状足りていないスキル=今身につけるべきスキル」が自然と明確になります。
たとえば「税務知識を強化したいが、実務経験がない」という場合、まずは法人税の基礎学習や税理士とのやり取りの補助からスタートするのが効果的です。場合によっては転職も視野に入れる必要があるでしょう。

このように、目的と現在地を見比べながら優先順位を整理することで、スキルアップ戦略に無駄がなくなり、成長スピードもぐんと上がります。


資格取得で知識の土台を強化する
スキルマップで「知識はあるが人に教えられる自信がない」といった分野が見つかった場合、資格取得がスキルアップの近道になります。
日商簿記2級・1級や税理士試験などは、難易度は高いものの、知識を体系化するうえで非常に効果的です。

スキルマップ上の弱点を強化するうえで、資格学習を取り入れてみましょう。

▶︎経理におすすめの資格一覧!未経験者向けから難易度別に紹介


現場での業務経験を意識的に増やす
実務経験は、スキルマップの空白を埋める最大の武器です。
「このスキルを高めたい」と明確に認識できているなら、上司や先輩に希望を伝えたり、社内異動を希望したりすることも検討しましょう。
また、転職を視野に入れる場合は「今の職場では身につかないスキル」に着目して、次の職場選びの基準にするのも有効です。


未経験のITツールにも挑戦する
スキルマップの中でも見落としがちなのがIT系スキルです。
経理業務では今や、Excelやクラウド会計ソフトはもちろん、請求処理や出入金管理などもシステム化が進んでおり、IT知識が欠かせません。
それに伴い取り扱うデータの量も増えており、膨大な量のデータを処理するRPAやマクロ関数の知識があると重宝されます。

未経験のデジタルツールに挑戦したり、Excel関数の知識を身につけたりすることで、今後の変化にも柔軟に対応できる人材を目指せるでしょう。

▶︎会計ソフトってどんなもの?
▶︎経理で使えるエクセルのテクニック!仕事を効率化する関数や機能を解説


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■経理のスキルマップを活用し、自分だけのキャリア戦略を描こう

経理職として成長し続けるためには、「どんなスキルが求められていて、自分に何が足りないのか」を見える化することが欠かせません。
スキルマップを作ることで、自分の強みや課題が明確になり、転職活動や日々の業務にも自信を持って臨めるようになります。

まずは、今の自分のスキルを整理することから始めてみましょう。そして、目指すキャリアやポジションに向けて、どのスキルを伸ばしていくかを計画的に考えていくことが、長く活躍できる経理パーソンへの第一歩になります。
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