103万の壁とは?160万への引き上げの影響や最新情報を解説

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103万の壁とは?160万への引き上げの影響や最新情報を解説

年収103万円を超えると税金負担が発生する、いわゆる「103万の壁」と言われている扶養控除の金額が160万円に引き上げられました。
そもそも「壁」とは?扶養控除の金額が上がることで、生活にどう影響するのかご存じでしょうか。

本記事では、103万・160万の壁の内容や引き上げの影響、今後の動向など、あなたの働き方に直結する最新情報をわかりやすく解説します。扶養内で働きたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。


【目次】

103万の壁や160万の壁とは?
 ・103万の壁の仕組み
 ・160万への引き上げの内容

103万の壁が引き上げられたことで生活はどう変わる?
 ・配偶者が働ける時間が増える
 ・税負担が軽減される
 ・扶養する子のアルバイト収入で手取り額が減りにくくなる
 ・社会保険に関する壁は残ることに注意

税制に関する今後の動向

103万の壁引き上げにともない働き方の見直しが必要



■103万の壁や160万の壁とは?

■103万の壁や160万の壁とは?
「壁」という表現は、その年収を超えると様々な税負担が発生したり、配偶者の控除が減るラインのことを示しています。
壁にはいくつか種類がありますが、ここでは2025年度に改定となり「103万の壁」から「160万の壁」になった「所得税の壁」について解説していきます。

以下の記事ではさまざまな壁について解説しています。ぜひご覧ください。
「扶養内勤務」6つの壁について再確認!


103万の壁の仕組み
2024年までは、「課税所得がゼロになる年収=所得税がかからない年収」のボーダーラインは103万円でした。これが「103万の壁」です。

会社から給与をもらって働く人(給与所得者)の所得税は、以下のように計算した課税所得に税率をかけて算出します。

収入金額合計ー(基礎控除(48万円)+給与所得控除(55万円))=課税所得

つまり、48万円+55万円=103万円以内の収入であれば、課税所得がゼロになり、所得税がかからない仕組みでした。これを「103万の壁」と呼んでいます。
働いた給与額から所得税が引かれないため、手取りが減ることはありません。これが従来の「103万の壁」「扶養内勤務」と言われる範囲でした。


160万への引き上げの内容
2025年現在、課税所得がゼロになる収入のボーダーラインは、103万から最大160万円に引き上げられています。給与所得控除と基礎控除の金額が、以下のように変わったためです。

・給与所得控除:55万円→65万円
・基礎控除:48万円→最大95万円

なお、基礎控除額が95万円となるのは、年収200万円以下の場合のみです。年収ごとの基礎控除額の違いは冒頭の表の通り、年収が上がるごとに控除額が減っていく累進課税の仕組みになっています。

基礎控除が95万円の場合、給与所得控除の65万円とあわせて160万円が非課税枠となり、所得税がかかる課税所得がゼロになります。これが「160万の壁」です。


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■103万の壁が引き上げられたことで生活はどう変わる?

扶養内で稼げる金額が増える
壁の引き上げにともない、配偶者控除および配偶者特別控除の年収要件も引き上げられました。それぞれの控除を満額(38万円)で受けられる年収上限は以下のとおりです。

・配偶者控除 103万円→123万円
・配偶者特別控除 150万円→160万円

配偶者控除と配偶者特別控除は、同じ所得税を減税する制度ですが、適用金額されるには主たる生計者の年収、配偶者の年収、婚姻関係にあること、などいくつかの条件があります。
主たる生計者、この場合、パートではなく正社員として勤務している方が配偶者控除を受けられるようにすると、手取りが増え世帯収入も増えることになります。
配偶者控除の金額が上がることにより、最低賃金が上がる中で制度を活用するために働き控えをしていたパート勤務者は、今までよりも自由度高く働くことが可能になりました。


税負担が軽減される
103万の壁が160万に引き上げられることで、税負担の軽減が見込まれます。
この壁の引き上げは、基礎控除額の上昇によるものなので、扶養内に働く人に限らず、給与所得を得ているすべての労働者に影響があるものです。

従来は年収に関わらず全員が一律48万円だった基礎控除額が、2026年までは年収段階的に95万円から58万円と、一番年収が高いゾーンでも10万円増えています。
これは課税所得が今までより10万円減ることになりますので、それ以外の控除や独身か、扶養者がいるかなどにもよりますが、数万円程度の減税に繋がっています。


扶養する子のアルバイト収入で手取り額が減りにくくなる
19歳以上23歳未満の子を扶養している場合、特定扶養控除として「63万円」の控除を受けられます。
これにより、これまでは子の年収が103万円を超えると特定扶養控除の対象外とされていましたが、2025年以降は150万円に引き上げられました。

また、「特定親族特別控除」という新たな控除制度が導入され、子の年収が150万円を超えても188万円までは控除を受けられるようになりました。
この制度の特徴は、年収に応じて段階的に控除額が設定されている点です。たとえば、年収が160万円以下では51万円、180万円では11万円の控除が受けられ、188万円を超えると控除は適用されなくなります。

この新制度は令和7年分以後の所得税から適用され、年末調整では新たに「給与所得者の特定親族特別控除申告書」の提出が必要になります。

注意が必要なのは、これはあくまで「親の手取りが減りにくくなる」という点です。
子ども自身の年収があがると、130万を超えれば社会保険の負担が発生し、160万を超えれば所得税が発生するのは、通常のパート・アルバイト勤務と変わりません。


社会保険に関する壁は残ることに注意
所得税の壁は引き上げられても、社会保険に関する106万円と130万円の壁は残ります。
年収130万円を超えると配偶者の扶養から外れ、自分自身で社会保険料を負担しなくてはなりません。

ただし年収130万円未満でも、以下の条件を満たす場合は配偶者の扶養から外れ、自身で社会保険料を負担する必要があります。

・賃金が月額8.8万円以上
・雇用期間が2ヶ月を超える見込み
・勤務先の従業員数が50人超
・週あたりの所定労働時間が20時間以上
・学生でない

これがいわゆる「106万の壁」です。
社会保険料は、厚生年金や健康保険、年齢によっては介護保険が加わり、給与額面によりますが少なくとも2万円程度は手取りから引かれてしまいます。
社会保険料を負担することは将来的に受けられる恩恵も増えるとはいえ、パート勤務者にとっては毎月の家計に影響を与える額です。所得税に関する「160万円の壁」以外にも、社会保険料の壁も意識して働き方を検討しましょう。


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■税制改正に関する今後の動向

2025年は103万円の壁を160万円に引き上げる改正を行いましたが、今後もさらなる制度変更が見込まれています。

一つは、生命保険料控除額の変更です。
令和8年(2026年)度の1年間に限り、「新契約」における一般生命保険料控除額の計算方法が変更されます。23歳未満の扶養親族がいる場合は、控除限度額が4万円から6万円に引き上げられます。
現在の所得税法では、平成24年(2012年)1月1日以降に契約されたものを「新契約」、それ以前を「旧契約」と定義していますので、適用期間と合わせて要確認です。

また、2025年10月には多くの都道府県で最低賃金が1000円を超えることになり、扶養控除の金額を上げてもすぐに賃金上昇が追い付いてしまうことが予想されます。
政府も扶養控除を178万円まで引き上げを目指しており、今後も適用範囲や条件が変わっていく可能性があります。
関連ニュースや職場の管理者から情報を得て、状況に応じて働き方の見直しを続けていく必要があるでしょう。


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■103万の壁引き上げにともない働き方の見直しが必要

税制改正により年収の選択肢は広がり、103万円を意識して収入を抑える必要はなくなりました。
しかし106万円・130万円の社会保険の壁は残り、160万円を超えると所得税は発生するので、家族のキャリアプランやライフスタイルを含めた家計全体を俯瞰した働き方の設計が求められます。

パート勤務を選択する人は、自由になる時間が限られているため、敢えてパート・アルバイトを選択している方が多いと思います。
最新情報を確認し、必要に応じて専門家や職場へ相談しつつ、自身と家族のライフプランに合う最適年収ラインを考えていくようにしましょう。

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