税理士試験制度完全ガイド|受験資格や合格率・効率的な学習の進め方を解説

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税理士試験制度完全ガイド|受験資格や合格率・効率的な学習の進め方を解説

法人決算対応も一段落し、税理士試験を目指している方はラストスパートが始まっている頃でしょうか。
試験会場も発表され、道中のルートやいざという時の近隣店舗の確認、遠方の方は前泊の準備など、勉強と同時並行で色々と進めていることでしょう。

本記事では、これから税理士試験に臨む方や今年初めての試験を迎える方に向けて、最新スケジュールや合格率、受験資格などを詳しく解説します。


【目次】

税理士試験の基本情報と2025年最新スケジュール
・税理士試験とは?試験科目と出題形式
・2025年度税理士試験日程と試験地一覧
・税理士試験の受験申込の流れ
・改正された受験資格と必要書類

税理士試験の特徴
・科目合格制度:試験を分割して受ける仕組み
・科目選択制度:選択のルールとポイント
・科目別の合格率

税理士試験の学習を効率的に進める方法
・予備校や通信講座を活用する
・合格に必要な学習量から逆算してスケジュールを立てる
・税理士事務所や会計事務所に勤務しながら学習を進める

税理士試験の概要を理解し、効率的に学習を進めよう


■税理士試験の基本情報と2025年最新スケジュール

■税理士試験の基本情報と2025年最新スケジュール
・税理士試験とは?試験科目と出題形式
税理士試験は、税理士として必要な学識と応用能力を判定するための国家試験です。以下11科目のなかから、計5科目の試験に合格する必要があります。


■会計科目(必須)
簿記論、財務諸表論

■税法科目(選択)
いずれか1科目以上必須:法人税法、所得税法
いずれか1科目or2科目選択:相続税法、消費税法、酒税法、住民税、事業税法、国税徴収法、固定資産税
ただし、消費税法と酒税法、住民税と事業税は同時に選択することは出来ません。

出題形式は記述方式で、計算問題と理論問題の2種類があります。
合格基準点は満点の60%以上とされているものの、合格率の平均は15%前後であることから、実質的には相対基準の試験だといえます。

税理士試験は科目合格制を採用しているため、一度に全科目合格する必要はなく、合格した科目は生涯有効です。計画的に受験していくことで、無理なく資格取得を目指せる試験制度となっています。

税理士試験科目の詳細は、以下の記事を参考にしてください。
税理士資格取得のための科目選択法:あなたに最適なプランは?


・2025年度税理士試験日程と試験地一覧
税理士試験は例年4月上旬に告知があり、4月下旬~5月上旬で受験受付を行います。2025年度の受付はすでに終了しているため、申し込みをしていない人が受験出来るのは次回の2026年度以降となります。

2025年(令和7年)の税理士試験は、8月5日(火)から7日(木)までの3日間にわたって、13都道府県の会場で実施されます。
会場は大学キャンパスや地域のイベントスペースなど、どこも大きな敷地を持つ場所になりますので、最寄り駅から現地までの道順はもちろん、敷地内のマップを見て、どこの入り口から入れば良いかなども事前に確認しておくと良いでしょう。

試験科目の時間割は、5日(火)が簿記論、財務諸表論、消費税法・酒税法。6日(水)が法人税法、相続税法、所得税法。7日(木)が国税徴収法、固定資産税、住民税・事業税となっています。

税理士試験の日程は毎年ほぼ同じで8月上旬、受験者数の多い科目が前半2日間に固まっており、試験日から逆算して学習スケジュールが立てやすくなっています。
「毎年1〜2科目ずつ」など少しずつ合格を積み重ねていくことが一般的なため、8月の試験が終了したらすぐに次の科目の勉強に取りかかることがポイントです。

こちらは昨年の記事ですが、前日・当日の注意点は毎年共通ですので、初めて参加される方は是非チェックしてみてください。
2024年、税理士試験情報をチェック!


・税理士試験の受験申込の流れ
税理士試験の受験申込は、願書の請求から始まります。令和7年度は4月7日から5月9日まで願書が交付され、4月21日から5月9日までが受験申込期間でした。

願書は各国税局で直接受け取るか、郵送で請求可能です。出願は郵送のみで、希望する受験地を管轄する国税局宛に送ります。封筒には「税理士受験」と赤書きし、書留または特定記録郵便で送付する必要があります。

申込時の必要書類には、以下のようなものがあります。

・証明写真(4.5cm×3.5cm)
・マイナンバー確認書類のコピー
・受験料分の収入印紙(1科目4,000円~5科目10,000円)など

受験申込期間は、例年10日程度しかありません。人によっては願書の取り寄せにも時間を要するため、必要書類はあらかじめ準備しておいて願書が届いたらすぐに発送出来るようにしておくなど、間違いのないよう慎重に手続きを行いましょう。


・改正された受験資格と必要書類
税理士試験の受験資格は、令和5年度から大きく緩和されました。
最も重要な変更点は、会計学に属する科目(簿記論・財務諸表論)の受験に資格制限がなくなり、誰でも受験できるようになったことです。これにより高校や大学在学中の学生受験が可能となり、受験者数増に寄与しています。

税法科目(所得税法、法人税法など)を受験するには、従来通り受験資格が必要ですが、こちらも要件が緩和されています。
学識による受験資格では、「法律学または経済学」という限定から「社会科学」全般に拡大され、大学で履修すべき科目の幅が広がりました。

税理士試験の受験資格については、以下の記事で詳しく解説しています。
税理士になるには?押さえるべき最短合格の戦略と実務経験の積み方


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■税理士試験の特徴

■税理士試験の特徴
・科目合格制度:試験を分割して受ける仕組み
税理士試験の最大の特徴は「科目合格制度」です。
全5科目(会計科目2科目と税法科目3科目)を一度に受験する必要はなく、1科目ずつ受験可能で合格科目は生涯有効のため、仕事や育児などで継続的な学習時間の確保が難しい方でも、自分のペースで資格取得を目指すことが可能です。
例えば、大学生の間に受験できる会計科目に合格し、社会人になってから残りの科目に挑戦するといった長期的な計画も立てられます。

学習の戦略としては、まず会計科目である「簿記論」から学習をスタートし、続いて「財務諸表論」に進むことが一般的です。学習時間に余裕がある場合は、この2科目を同時に受験するのも効率的です。
税理士試験は年1回の実施で、合格基準は各科目60点以上とされていますが、実際には上位10~20%程度が合格する相対評価となっています。科目合格制度を最大限に活用し、自分のライフスタイルに合わせた受験計画を立てることが成功への鍵です。


・科目選択制度:選択のルールとポイント
前述したとおり、税理士試験では科目選択に関するルールがあります。

合格には会計学2科目(簿記論・財務諸表論)が必須で、税法科目は3科目を選ぶ必要があります。その際、所得税法または法人税法のいずれか1科目は必ず選択し、残り2科目は相続税法や消費税法などから自由に選べます。同時に選択出来ない科目の組み合わせもあるので、受験計画を立てるときにはチェックが必要です。

科目選択で王道の組み合わせは「簿記論」「財務諸表論」「法人税法」「消費税法」「相続税法」です。この組み合わせは難易度も高いですが、実務での汎用性が高く、将来税理士として活躍する際の知識基盤になります。
将来相続や資産税のスペシャリストとして活躍したいなら、法人税の代わりに所得税、スタートアップ企業の支援をしたいなら、相続税の代わりに事業税、といったように、科目選択は要件を満たすことを前提に、自身の興味・関心や将来のキャリアプランと照らし合わせて総合的に判断しましょう。


・科目別の合格率
税理士試験の合格率は科目ごとにばらつきがありますが、おおむね10%~15%の間で推移しています。
受験者数の多い簿記論・財務諸表論は比較的合格率も高く15%~20%前後ですが、受験者数が多い分、しっかり高得点を取らないと相対的に不合格になる可能性も高まる点に注意が必要です。受験要件がないこともあり、勉強に時間を当てられる大学生(25歳以下)の合格率が特に高く、この年代に限ると30%を超えることもあります。
会計科目は2科目とも必須科目のため、基礎固めの意味も込めて8割得点を目指すくらいでも良いでしょう。
受験者数の少ない酒税法、住民税、事業税はその分合格者数も少なく、1点の重みが明暗を分けることになります。

税理士試験は法改正のタイミングや内容によって、問題構成や難易度も例年大きく変わる可能性があるため、前年の合格率に一喜一憂することなく、淡々と対策をするのが良いでしょう。


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■税理士試験の学習を効率的に進める方法

・予備校や通信講座を活用する
税理士試験に最短で合格するには、予備校や通信講座を活用するのがおすすめです。独学は費用を大幅に抑えられるものの、モチベーションの維持が難しく、情報収集にも時間がかかりやすくなります。特に税法は毎年改正が入るので、最新情報に合わせた試験対策や練習問題の入手など、個人で行うには限界があります。

予備校はカリキュラムが段階的に組まれており、講師の専門的な指導を受けられるため、効率的に学習を進められます。税理士試験では苦手な論点を放置すると合格が遠のくリスクがありますが、予備校では質問できる環境が整っていることもメリットです。

理解力と自己管理能力に自信がある方は独学でも合格可能ですが、効率良く合格を目指すなら予備校の利用が近道といえるでしょう。コスト面で悩む場合は、通信講座を活用することも有効です。

税理士予備校の選び方については、以下の記事を参考にしてください。
税理士予備校を目的別に徹底比較!おすすめ選び方ガイド


・合格に必要な学習量から逆算してスケジュールを立てる
税理士試験は出題範囲が広く、理解と暗記の両面が求められる高度な試験です。合格までに必要とされる学習時間は科目ごとに異なりますが、1科目あたり300〜600時間程度と言われています。

そこで重要になるのが、合格に必要な学習量から逆算してスケジュールを立てることです。たとえば300時間の学習が必要な科目の場合、試験まであと150日あるなら、最低でも1日2時間の学習が必要だと分かります。
日数が少ないなら1日の勉強時間を増やす、休みの日に補填する、時間を増やすことが難しいなら来年のチャレンジを見据えて再計画するなど、逆算によって学習目標を具体的に設定、日々の行動に落とし込みましょう。

仕事や家庭と両立しながら学習を進める場合は特に、「今のペースで間に合うか」と計画をチェックすることが重要です。計画通りに進めたとしても、半年前に学習したことを覚えているか、という復習の時間も必要になります。
スケジュールを立てておけば、遅れが出ても早期に気付き、学習計画の調整がしやすくなります。

税理士試験合格に必要な学習時間については、以下の記事で詳しく解説しています。
税理士試験合格に必要な勉強時間とは?科目選択のコツや勉強法を解説


・税理士事務所や会計事務所に勤務しながら学習を進める
社会人の方は、税理士・会計事務所に勤務しながら学習を進めることが、試験合格の近道になる可能性があります。実務を体感しながら学べる環境に身を置くことで、学習内容を理解しやすくなるからです。

教科書で学ぶ理論や税制が、実際の業務の中で「こう使われるのか」と実感できるため、抽象的な知識が具体化され、記憶にも定着しやすくなります。また、税法は毎年改正されるため、現場にいれば自然と最新情報を得られることもメリットです。

さらに税理士事務所や会計事務所では、先輩税理士や受験生仲間からリアルなアドバイスや情報が得られます。孤独になりがちな受験勉強を、実務の中で支えてくれるネットワークが形成されるのも大きな利点でしょう。
これらのメリットはパートやアルバイト勤務でも得られるため、税理士試験の合格を目指すために時間調整がしやすいパート・アルバイトの雇用で、税理士事務所・会計事務所へ転職する方も珍しくありません。
資格取得も目指せる!会計事務所へ転職することのメリット


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■税理士試験の概要を理解し、効率的に学習を進めよう

本記事では、税理士試験に関する基本情報や特徴、効率的に学習を進める方法を解説しました。試験日程は毎年ほぼ同じなので、できる限り早くスケジュールを組み、学習を開始することが重要です。

効率的に試験合格を目指したい方は、現在の環境を見直すこともひとつの方法です。予備校の利用や税理士事務所・会計事務所への勤務など、「自分にとって最も効果的に学習を進められる手段」を検討してみましょう。

アカナビでは、税理士事務所・会計事務所の求人情報を多数掲載しています。税理士を目指すうえでの実務経験を積みたい方、仕事と両立しながら学習を進めたい方など、是非チェックしてみてくださいね。
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