税理士試験合格に必要な勉強時間とは?科目選択のコツや勉強法を解説

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税理士試験合格に必要な勉強時間とは?科目選択のコツや勉強法を解説

「税理士になりたいけど、仕事をしながらどれくらいの勉強時間が必要なの?」「効率的な学習スケジュールを立てるコツはある?」働きながら税理士試験に挑戦しようとしている方々からよくいただく質問です。

税理士試験は5科目合格が必要で、一般的に3〜5年かかると言われていますが、実は効率的な学習計画と科目選択の戦略次第で、短期合格も十分可能なのです。

この記事では、科目別の必要勉強時間から、社会人でも実践できる時間確保のテクニックまで、税理士試験の短期合格を目指すために必要な情報をお伝えします。

【目次】

税理士試験の勉強を始める前に
 ・税理士試験の仕組み
 ・税理士試験の難易度と合格率

税理士試験合格に必要な勉強時間
 ・短期合格に必要な総勉強時間の目安
 ・社会人と大学生による勉強時間の違い

税理士試験の科目別に見る必要勉強時間とポイント
 ・科目選択の戦略と合格しやすい組み合わせ
 ・簿記論
 ・財務諸表論
 ・所得税法
 ・法人税法
 ・相続税法
 ・消費税法
 ・酒税法
 ・国税徴収法
 ・住民税
 ・事業税
 ・固定資産税

勉強時間を短縮する効率的な学習テクニック
 ・過去問分析による出題傾向の把握と的中率向上
 ・スマホアプリやデジタルツールを活用した隙間時間学習法
 ・税理士試験に合格するために


■税理士試験の勉強を始める前に

■税理士試験の勉強を始める前に
税理士試験の仕組み

税理士試験は5科目の試験に合格することで資格を取得できる国家試験です。必須科目は「簿記論」と「財務諸表論」、選択科目は「法人税法」「所得税法」「相続税法」「消費税法」「酒税法」「国税徴収法」「事業税」「住民税」「固定資産税」から3科目を選びますが、税法のうち「法人税」「所得税」「消費税」のいずれか1つは必ず取得しなくてはいけません。

合格基準は各科目60点以上(100点満点)で、一度合格した科目は一生有効です。そのため、1科目ずつ合格していくことも可能で、多くの受験生がこの方法を選んでいます。

税理士試験の難易度は非常に高く、5科目全体の合格率は例年10%前後となっています。また、税理士になるためには試験合格だけでなく、税理士事務所などでの一定の実務経験も必要です。
大学で一定の単位を取得している場合は、科目免除制度を利用できる点も覚えておきましょう。効率的な科目選択と学習計画が税理士試験合格への鍵となります。

科目選択や免除制度については、こちらの記事もご参照ください。
税理士資格取得のための科目選択法:あなたに最適なプランは?
税理士の大学院の科目免除制度とは?おすすめの選び方も紹介


税理士試験の難易度と合格率
税理士試験は合計5つの科目から構成され、それぞれ異なる難易度と合格率を持っています。令和4年度のデータを見ると、最も合格率が高いのは簿記論で23.0%、次いで財務諸表論が14.8%となっています。

選択科目では、固定資産税の合格率が18.4%と比較的高く、住民税が17.2%で続きます。一方、消費税法は11.4%と最も難関で、法人税法も12.3%と合格が難しい傾向があります。所得税法や相続税法も14%前後の合格率です。

とはいえ問題傾向は毎年変わり、それによって合格率も毎年変動するので、「この科目は受かりやすい」ということはありません。実際の受験戦略を立てる際は、自分の得意分野や将来目指したい税理士像と合わせて科目選択をするのが賢明です。
なお、試験全体の合格率は19.5%で、5科目すべてに合格した人は620人となっています。科目選択は将来の税理士としてのキャリアにも影響するため、慎重に検討しましょう。


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■税理士試験合格に必要な勉強時間

■税理士試験合格に必要な勉強時間
短期合格に必要な総勉強時間の目安
税理士試験に短期合格するためには、相当量の学習時間が必要です。一般的に必要とされる総勉強時間は1,500〜2,500時間が目安とされています。この時間数は選択する科目によって大きく変動します。

科目別に見ると、簿記論と財務諸表論はそれぞれ約450時間、法人税法と所得税法は各600時間、相続税法は450時間程度が必要です。一方、消費税法は300時間、国税徴収法や酒税法は比較的少なく150時間程度で済みます。

例えば、簿記論・財務諸表論に加えて、必須の法人税か所得税、学習量目安の少ない国税徴収法・酒税法の2科目を選択すれば、約1,500時間で対応できます。
注意する点は、税理士は資格を取ることがゴールではないということ。その後のキャリアに役立つ内容であれば、学習量が多くても必要な時間と割り切ることも大切です。


社会人と大学生による勉強時間の違い
社会人と大学生では、税理士試験に費やせる勉強時間に明確な差があります。社会人はフルタイムで仕事もあり、1日の勉強時間が限られます。食事、睡眠、仕事などの時間を除くと、仕事がある日に無理なく勉強に使える時間は2・3時間程度でしょう。

一方、大学生や専門学校生は比較的自由な時間を確保でき、集中して学習に取り組める環境があります。実際に、簿記論と財務諸表論の受験に要件がなくなった以降の税理士試験の結果を見ても、大学在学中の受験者は科目合格率が高い傾向にあります。

重要なのは、量よりも質と継続性です。社会人は少ない時間でも毎日継続して学習することで、効果を上げられます。通勤時間中や入浴中など、スマホやタブレットで使えるツールを活用して、隙間時間を活用しましょう。


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■税理士試験の科目別に見る必要勉強時間とポイント

■税理士試験の科目別に見る必要勉強時間とポイント
科目選択の戦略と勉強しやすい組み合わせ
税理士試験の科目選択は、合格戦略と将来の実務に直結する重要な決断です。
選択のルールとして、簿記論・財務諸表論は必須、法人税法か所得税法のいずれか1つが選択必須となり、残り2科目はその他の8科目の中から自由に選択可能です。ただし消費税法と酒税法、住民税と事業税はどちらか1科目のみ選択可能で、同時に選ぶことは出来ません。

科目選択のポイントは、受験者数、学習ボリューム、実務での必要性、将来の税理士像、科目間の関連性です。特に実務では「法人税法」「所得税法」「消費税法」「相続税法」からなる国税4法の重要度が高いことを意識しましょう。

人気の組み合わせには「簿財法消相」があり、法人向けバランス型として近年最も選ばれています。法人特化型なら「簿財法消事」、個人資産家向けなら「簿財所消相」などの選択肢もあります。
必須以外の選択科目については、自分の得意な分野や独立を見据えた時に強みとなるような選択をすると良いでしょう。

科目の中には、合わせて勉強することで関連や重複をまとめることが出来たり、より理解度を高められる組み合わせもあります。
会計科目である簿記論と財務諸表論、法人に関する法人税法と事業税、個人に関する相続税と所得税、個人事業主に関する所得税と消費税など、一方を理解していると関連するワードや税法の背景をより理解しやすくなります。


簿記論
簿記論の合格には最低500時間の学習が必要です。効率的な学習法として最もおすすめなのは、財務諸表論との同時学習です。

両科目は計算問題の内容が重複しているため、別々に学ぶより大幅に税理士試験の勉強時間を短縮できます。通常は2科目で1,000時間必要なところを、同時学習なら750時間程度まで圧縮可能です。

簿記論の勉強法についてはこちらもご覧ください。
簿記論は独学で合格できる?税理士試験合格へに向けて勉強のコツを解説


財務諸表論
財務諸表論は会計の根幹を学ぶ科目で、合格に必要な勉強時間は約450時間です。効率的に学ぶには、理論と計算のバランスを意識しながら、基本書で全体像を掴んでから各論点の理解を深めていきましょう。
特に連結会計や税効果会計などの複雑な分野は、重点的に時間をかけることが重要です。

財務論の勉強法についてはこちらもご覧ください。
税理士試験の財務諸表論、独学で合格は可能か?成功するためのポイントを解説


所得税法
所得税法は税理士試験の難関科目の一つで、合格には約600時間の勉強が必要です。
効率的な学習法としては、まず所得税法の全体構造を理解し、各所得区分の計算方法と所得控除の仕組みを体系的に把握することが重要です。


法人税法
法人税法は税理士試験の主要科目で、合格には約600時間の学習が必要です。また、法人税法の合格は就職活動でも高評価につながるため、選択者が多い傾向にあります。
学習の際は単なる条文暗記ではなく、法人税の全体像を把握することが重要です。とにかく勉強範囲が広いため、まずは広く浅く、各項目の基礎を固めましょう。


相続税法
相続税法は税理士試験の中でも難関科目とされ、合格率は例年11〜14%前後、合格には約500時間の学習時間が必要です。

相続税法の出題は理論問題と計算問題に大別され、それぞれ対策が異なります。理論問題では条文の基礎的理解と専門用語の正確な把握が不可欠で、計算問題では相続関係図の読み取りと財産評価が重要です。


消費税法
消費税法は税理士試験の勉強時間としては約300時間が目安で、他の税法に比べて学習範囲が狭いのが特徴です。初心者にとっては入門科目としても選択しやすいでしょう。

効率的に学習するには、まず課税・非課税・免税の基本概念をしっかり理解することが重要です。理論問題対策として、課税要件や仕入税額控除の要件は完璧に押さえましょう。計算問題は単純な計算が中心になるため、ケアレスミスを防ぐ練習が必須です。


酒税法
酒税法は税理士試験の中でも受験者が少ない科目ですが、学習範囲が限定的で必要勉強時間は約150時間と短いのが大きな魅力です。また、消費税と同時に選択することは出来ません。
学習の進め方は、条文理解→過去問演習→弱点補強の順序が効果的です。酒税の税率計算自体は単純ですが、酒類区分によって異なるため、分類の暗記がカギとなります。


国税徴収法
国税徴収法は税理士試験の選択科目の中でも学習範囲が限定的で、必要勉強時間は約150時間と短いのが魅力です。
効率的に学ぶには、まず滞納処分の全体像を把握し、徴収法特有の概念(納税義務、第二次納税義務、物的納税責任など)を理解することが重要です。


住民税
住民税は地方税の代表格で、税理士試験においては約200時間の勉強で合格を目指せる科目です。効率的に学ぶコツは、まず課税の仕組みと計算構造の全体像を掴むことです。特に個人住民税と法人住民税の違いを明確に理解することがポイントとなります。
住民税は所得税や法人税との関連性が強いため、これらの科目を学んだ後に取り組むと理解が早まります。


事業税
事業税は地方税の中でも比較的学習範囲が限られており、税理士試験合格に必要な勉強時間は約200時間程度です。住民税と合わせて選択することは出来ません。
効率的な学習法としては、まず事業税の課税対象と課税標準の理解から始めることが重要です。特に「外形標準課税」の仕組みは重点的に学習しましょう。法人事業税と個人事業税の違いも明確に押さえる必要があります。


固定資産税
固定資産税は、必要勉強時間は約180時間程度で取り組みやすい科目です。
効率的に学習するには、まず固定資産税の課税の仕組みと評価制度の全体像を把握することが重要です。特に「固定資産の評価方法」と「課税標準の特例」は頻出テーマなので、重点的に学習しましょう。償却資産に関する計算問題は、反復練習が必須となります。


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■勉強時間を短縮する効率的な学習テクニック

過去問分析による出題傾向の把握と的中率向上
税理士試験で合格を目指すなら、過去問分析が必須です。特に直近2〜3年の問題は、試験委員の出題傾向を把握する上で貴重な情報源となります。
また、法人税や所得税は毎年のように改正が入り、模範解答や計算方法が変わることもあるので最新情報を欠かさずチェックしましょう。

過去問分析では、時間配分と解答順序の研究も重要です。限られた試験時間内で得点を最大化するには、各問題にどれだけ時間をかけるか、どの問いから解き始めるかを事前に検討しておくことが鍵となります。
模試が開催されていれば積極的に受けることも、実力を図ること以上に試験の形式に慣れておくことに意義があります。


スマホアプリやデジタルツールを活用した隙間時間学習法
隙間時間を活用するなら、スマホアプリやデジタルツールが強い味方になります。
覚えたいことを登録して単語帳のように使えるアプリの他、オンライン完結型のWEB講座は、通勤時間や待ち時間にスマホ一台で学習できる利便性が魅力です。
電子テキストに抵抗がなければ、常に複数の参考書を携帯できるので、効率的な勉強も可能になります。特に社会人として働きながら試験勉強を進めている方は、隙間時間を活用できる重要なツールとなるでしょう。


税理士試験に合格するために
税理士試験合格には、科目選択と効率的な学習計画が不可欠です。5科目全体で必要な総勉強時間は1,500〜2,500時間で、選択する科目によって大きく変動します。
仕事と両立するなら、平日は通勤時間や昼休みを活用し、週末にまとまった時間で集中学習するのが効果的です。

また、科目の関連性を考慮した組み合わせや、インプットとアウトプットのバランスを意識した学習も重要です。「急がば回れ」、計画的・継続的な学習こそが、税理士試験合格への近道となります。あなたの税理士試験がうまくいくことを願っています!

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