正社員からパートになるとどうなる?注意点や制度・権利の変化を解説

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正社員からパートになるとどうなる?注意点や制度・権利の変化を解説

ライフステージの変化や価値観の多様化により、時間的な余裕を求める方、家庭との両立を図りたい方、あるいは会社からの提案で雇用形態の変更を迫られている方など、様々な場面で正社員からパート雇用への転換の機会は訪れます。

この記事では、正社員からパートへの転換を考える方に向けて、メリット・デメリットや知っておくべき制度や権利について解説します。


【目次】
正社員からパートへ転換するメリット・デメリット
 ・メリット1. 家庭との両立がしやすい
 ・メリット2. 収入を調整しやすい
 ・メリット3. 責任の重さによるストレスが軽減される
 ・デメリット1. キャリア形成やスキルアップの機会が減少する
 ・デメリット2. 社会的な信用度が下がる

正社員からパートへの転換で変化する制度・権利
 ・有給休暇
 ・退職金制度
 ・雇用保険・社会保険
 ・産休・育休制度

正社員からパートへ転換する際のポイントと注意点
 ・準備を整えたうえで会社に交渉する
 ・強制的に雇用形態の変更を迫られても応じない
 ・ワークライフバランスを重視できる職場を選ぶ

ポイントをおさえて正社員からパートへの転換を成功させよう


■正社員からパートへ転換するメリット・デメリット

■正社員からパートへ転換するメリット・デメリット
メリット1. 家庭との両立がしやすい
正社員からパートになる最大のメリットとして、「家庭との両立のしやすさ」が挙げられます。

正社員では勤務時間が固定されることが多いものの、パートでは「短時間勤務」や「週3日だけ」など、ライフスタイルに合わせた働き方を選べます。
時間と気持ちに余裕があれば「子供の前ではいつも笑顔でいたい」「子供と一緒に遊ぶ時間を作りたい」という願いも叶えられるでしょう。

仕事に対する責任や達成感、やりがいは、自分自身に余裕があるからこそ感じられるもの。
特に子育て中の方にとって、この柔軟性は非常に重要な要素です。


メリット2. 収入を調整しやすい
パート勤務では、働く時間や日数を設定できるため、収入を自分の希望に合わせて調整できます。

配偶者がいる方は、年収103万円以下(2025年4月現在)に抑えれば所得税や社会保険料がかからず、配偶者控除の適用も受けられます。年収が103万円を超えても201万6千円未満であれば、配偶者特別控除は適用される可能性があり、世帯全体の税負担を最適化できるのです。

一方で、正社員からパートへの転換は「収入減少」という側面も持ち合わせています。給料体系が時給制になることで、勤務日数が少ない月やお子様の長期休暇に合わせたシフトを組んだ月など、月収は大幅に下がるケースがほとんどです。

収入調整のメリットを活かすには、社会保険と課税の仕組みについて学び、税制優遇を最大限に活用できる働き方を選ぶことが重要です。
年収の目安と課税のラインについて確認したい方は、こちらの記事も参照してください。
「扶養内勤務」6つの壁について再確認!


メリット3. 責任の重さによるストレスが軽減される
正社員として働く場合、プロジェクト管理や数値目標の達成、部下の指導など、さまざまな責任を担うことがほとんどです。
パートへ転換すれば、多くの場合は正社員が上司として付くことになるため、最終的な責任や日々のプレッシャーから解放され、精神的な余裕が生まれやすくなります。

また、残業や休日出勤が減ることも大きな利点です。平日にも家事ができることや、子供の体調不良で休む罪悪感が軽減されることで、家庭での時間も穏やかに過ごせるようになるでしょう。


デメリット1. キャリア形成やスキルアップの機会が減少する
正社員からパートに切り替えると、キャリア形成やスキルアップの機会が減少することは避けられません。

パート勤務では、専門性を高める研修や資格取得支援などを受ける機会が減少することに加え、勤務時間が減ることで、どうしてもフルタイム社員と比べて職務経験の蓄積スピードも遅くなります。
専門知識やスキルの習得がしにくくなれば、将来の再就職やキャリアアップの可能性に影響する可能性があるのです。


デメリット2. 社会的な信用度が下がる
正社員からパートへ転換すると、社会的な信用度、特に金融機関からの評価が変わることを知っておく必要があります。
住宅ローンやカードローンなどの審査では、正社員は「安定した収入がある」と評価されるのに対し、シフトによって収入が変わるパートは「収入が不安定」と見なされがちです。

特に住宅ローンの審査では、パート・アルバイトの場合、勤続年数や年収に厳しい条件が課されます。たとえ同じ会社で働き続けていても、正社員からパートに切り替えた時点で「雇用の安定性が下がった」と判断されるのです。

正社員からパートへの転換を検討する際は、将来的な資金計画やローン計画も考慮に入れておきましょう。



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■正社員からパートへの転換で変化する制度・権利

有給休暇
正社員からパートに雇用形態が変わる場合でも、有給休暇の権利は継続します。法律上、同一企業内での雇用形態変更は「労働契約の継続」と見なされるため、これまでに付与された未消化の有給休暇はそのまま引き継がれます。
また、パートタイマーでも新たに有給取得する条件は、正社員の時と同様、「半年以上継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤していること」です。勤務時間が短くても、この条件を満たせば正社員と同様に有給休暇を取得できるのです。

ただし、勤務日数や勤務時間の変化に応じて、新たな有給休暇の付与日数や取得条件は変化します。
たとえば週5日勤務の正社員から週3日のパートになった場合、初年度の有給付与数は正社員が10日間、週3日のパートは5日間です。年次を重ねると日数は増えていく点は同じですが、週3日パートの場合、最大でも年間11日間の付与となります。


退職金制度
企業によっては、雇用形態の変更を「一度退職して再雇用される」と捉えるため、正社員からパートに転換した時点で退職金が支給される可能性があります。ただし、退職金制度は法律で義務付けられているものではなく、各企業の規定によって異なるため、退職金制度そのものがない場合もあるでしょう。

就業規則や雇用契約書には、退職金の支給条件が明記されていますので、まずはこれらの文書を確認しましょう。不明な点があれば、人事部に直接問い合わせることをおすすめします。

パートタイマーとして再雇用された後も、勤続年数が退職金の計算に反映される企業もありますが「パート・アルバイトは対象外」と規定している場合も少なくありません。パート転換の前に退職金を一度清算するか、将来的に再度正社員になることを視野に入れるかなど、自分のキャリアプランに合わせて検討することが重要です。


雇用保険・社会保険
雇用保険の加入条件は、雇用形態よりも「働き方」で決まります。

正社員からパートに変わっても、「週20時間以上勤務」かつ「31日以上の雇用見込み」があれば、継続して雇用保険に加入できます。ただし、週の勤務時間が20時間未満になると資格を喪失してしまうため注意が必要です。
失業給付については、正社員時代の加入期間も含めた「被保険者期間」に基づいて受給資格が判断されます。基本的には離職前2年間に12ヶ月以上の被保険者期間(雇用保険加入期間)があれば、受給資格を得られます。

雇用保険以外の厚生年金、健康保険、介護保険(40歳以上)についても、雇用保険同様に働き方で決まります。
週30時間以上および1月の所定労働日数が15日以上であれば、パート雇用であっても加入対象です。また、企業の規模によっては週20時間以上でも対象になることがあります。
社会保険加入の有無は、直近では手取り額に、将来的には年金支給額に影響がありますので、ご家庭の状況やスケジュールに合わせてよく検討すると良いでしょう。


産休・育休制度
パートタイマーでも、条件を満たせば産休・育休の取得が可能です。
パートでの産休は出産前6週間、出産後8週間(多胎妊娠の場合は産前14週間)で、これらの期間は法律で休むことが義務付けられています。
産休の取得にあたっては雇用形態に関係なく、すべての人が取得できます。

育休も、以下の条件を満たせば取得可能です。
・週2日以上勤務
・同じ事業主のもとで1年以上勤務

以前は「1年後の雇用見込み」が課題でしたが、平成29年の規制緩和により申請しやすくなりました。

正社員からパートに変わっても、これらの制度を利用する権利は継続します。社会保険に加入している場合は各種給付金を受けられる可能性もあるため、条件を確認して活用を検討しましょう。
産休・育休制度については、こちらの記事もご参照ください。
産休・育休について①どんな制度?
産休・育休について②手当や支援は何がある?


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■正社員からパートへ転換する際のポイントと注意点

準備を整えたうえで会社に交渉する
正社員からパートへの転換を会社に提案する際は、勤務態度や仕事への取り組みで信頼関係を築いておくことが重要です。半年以上の勤務実績があると交渉しやすくなります。

提案時には、パート転換の理由を明確に伝え、引き続き仕事を続けたい熱意や意欲を伝えましょう。
企業としても、新しい人を採用して育成するコストより、業務内容や社内事情に精通した人材を部分的にでも確保したいと考えているため、お互いにとって良い条件を見つけられる可能性が高まります。

希望する勤務条件(時間・日数・職務内容)を伝える際には、まずは自分の希望を伝え、会社側の状況を考慮した妥協案も用意しておくと良いでしょう。
実際は週4日働ける場合でも、週3日希望を先に伝えておくことで、最終的に週4日に着地した場合も「会社側の希望を考慮してくれた」というイメージになりやすくなります。


強制的に雇用形態の変更を迫られても応じない
会社から一方的にパートへの雇用形態変更を迫られた場合、これは法律違反となる可能性があります。

実際、妊娠・出産後に正社員からパートへの転換を強制されたケースでの裁判において、裁判所は「労働者の自由な意思による合意」がなければ無効と判断しています。たとえ「合意」の形をとっていても、本当に立場による強制や脅迫がなかったか、労働者が自由意思で決断したのか慎重に判断が下されるのです。

正社員からパートへの変更を検討する際は、労働条件の変更内容を書面で確認し、不利益な点があれば交渉することが重要です。不当な変更を強いられた場合は、労働基準監督署や労働組合に相談することも検討しましょう。

パートの試用期間とは何か? 社会保険や解雇などの基本ルールと注意点


ワークライフバランスを重視できる職場を選ぶ
正社員からパートへ転換する際、社内の交渉でお互いの妥協点が見つからない場合は、転職して職場を変えることも一つの方法です。
パートスタッフが多く活躍している職場や、雇用形態問わず子育て中のスタッフが多くいる職場は、急な早退や欠勤に対するサポート体制も充実しており、自分以外にも休みを取る人が多いと気兼ねなくシフト調整の相談もしやすいでしょう。

シフト制で短時間勤務が可能な職種は、子育てとの両立がしやすい傾向にあります。スキルがあれば、在宅勤務が可能なIT・Web系、会計事務所の仕事も選択肢となるでしょう。

パート面接のポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
パート面接で質問しておくべきことは?逆質問のチェックリストを紹介


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■ポイントをおさえて正社員からパートへの転換を成功させよう

正社員からパートへの転換は、「自分なりに納得して働ける」かどうかを重視して検討しましょう。家族の環境や収入は一人ひとり異なるため、ベストな働き方も人それぞれ。
制度やメリット・デメリットなどの情報を収集しながら、理想の働き方を実現する選択をしていただけますと幸いです。

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