税理士の研修36時間の義務とは?免除条件と研修内容を解説
税理士の研修は、単なる“勉強会”ではなく、法令遵守や業務の質を保つために義務づけられている大切な制度です。しかし「受けないとどうなるの?」「どんな内容が含まれているの?」と疑問を持つ方も多いはず。
この記事では、税理士に義務付けられている研修の種類や内容、免除制度の条件まで、わかりやすく解説します。税理士を目指す方も、すでに活動している方も、ぜひチェックしてみてください。
【目次】
■税理士に義務づけられている研修とは?
・年間36時間の研修が必要な理由
・研修の種類・対象者
・研修の受講期間
・研修を受講しないとどうなる?
■税理士研修の主な内容
・税理士法・職業倫理に関する研修
・租税法・会計に関する研修
・情報処理・ITスキルに関する研修
■税理士の研修には免除制度がある
・免除が認められる主なケース
・一部免除と完全免除の違い
・免除申請の手続きと注意点
・免除申請の審査基準
■「学ぶ姿勢」が信頼につながる!研修制度を前向きに活用しよう
この記事では、税理士に義務付けられている研修の種類や内容、免除制度の条件まで、わかりやすく解説します。税理士を目指す方も、すでに活動している方も、ぜひチェックしてみてください。
【目次】
■税理士に義務づけられている研修とは?
・年間36時間の研修が必要な理由
・研修の種類・対象者
・研修の受講期間
・研修を受講しないとどうなる?
■税理士研修の主な内容
・税理士法・職業倫理に関する研修
・租税法・会計に関する研修
・情報処理・ITスキルに関する研修
■税理士の研修には免除制度がある
・免除が認められる主なケース
・一部免除と完全免除の違い
・免除申請の手続きと注意点
・免除申請の審査基準
■「学ぶ姿勢」が信頼につながる!研修制度を前向きに活用しよう
■税理士に義務付けられている研修とは?
年間36時間の研修が必要な理由
税理士には、一事業年度に36時間以上の研修を受講する義務があります。
この規定は税理士法と日本税理士連合会の会則に基づいており、税理士としての使命を全うするために設けられました。
税理士法第一条では、「租税に関する専門家として、独立した公正な立場で、納税義務の適正な実現を図ること」が税理士の使命として明記されています。この重要な役割を果たすためには、高度な専門知識と倫理観が不可欠です。
しかし近年、経済環境の多様化に伴い税法も複雑化・多様化しており、近年だけでも軽減税率やインボイス、電子帳簿保存法など、様々な会計処理のルールが追加されました。
日常業務に追われる中で、最新の税制改正や事例研究を自主的に学ぶことが困難になっています。そこで研修受講を義務化することで、税理士としての資質向上を図る取り組みが進められたのです。
平成13年度の税理士法改正では努力義務規定が設けられ、その後、日税連や各税理士会の会則・規則において36時間の研修受講が正式に義務化されました。これにより、税理士が常に最新の専門知識を維持し、クライアントに最適なサービスを提供できる体制が整えられています。
研修の種類・対象者
研修義務の対象者は、日本税理士連合会および全国15ある税理士会の全会員です。研修には、大きく分けて以下の3種類があります。
・連合会や各税理士会が主催の研修
・大学、公的機関、民間機関などが主催する認定研修
・その他の研修(認可前を含む)
とくに連合会・各税理士会が行う「登録時研修」は、税理士登録から1年以内の新人税理士に課せられる重要な義務です。未受講の場合は、翌年に受講しなければなりません。
従来は会場での3日間集中受講が必要でしたが、コロナ禍の影響もあり、2021年10月からはマルチメディア方式(インターネット配信やDVDの視聴)での受講も可能になりました。
研修の受講期間
研修は、毎年4月から翌年3月までの間に36時間以上受講する必要があります。ただし、事業年度の途中で登録した税理士は、以下のルールで受講時間を計算します。
【例:8月に新規登録した場合】
・9月〜翌年3月まで(7ヶ月間)の期間で受講時間を算出する
・36時間÷12ヶ月×7ヶ月=21時間(月数で按分)
⇒21時間の研修受講が義務付けられる
研修を受講しないとどうなる?
税理士の研修受講は、税理士法上では「義務付ける」とまでは記載されておらず、36時間の研修義務を満たさなくても直接的な罰則はありません。
しかし、日本税理士会連合会及び各税理士会は2015年に会則を変更して研修の義務化を明文化、更に「税理士情報検索サイト」で各税理士の研修受講状況(受講義務時間と受講実績時間)を一般に公開しています。
このサイトでは、税理士の研修達成率が誰でも確認できます。つまり、研修を怠ると「自己研鑽に積極的でない税理士」というイメージを持たれかねず、クライアントからの信頼を損なう恐れがあるのです。
研修受講は単なる形式的な義務ではなく、税理士としての専門性を維持・向上させる重要な機会です。社会的信用を保ち、顧客満足度を高めるためにも、研修は積極的に活用すべきでしょう。
「信頼される税理士」であるためには、日々の研修だけでなく、業務全体への理解も欠かせません。税理士の基本的な役割や業務範囲については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
▶税理士とは?業務内容や資格の難易度・年収について紹介
▶▶アカナビで求人を見てみる
税理士には、一事業年度に36時間以上の研修を受講する義務があります。
この規定は税理士法と日本税理士連合会の会則に基づいており、税理士としての使命を全うするために設けられました。
税理士法第一条では、「租税に関する専門家として、独立した公正な立場で、納税義務の適正な実現を図ること」が税理士の使命として明記されています。この重要な役割を果たすためには、高度な専門知識と倫理観が不可欠です。
しかし近年、経済環境の多様化に伴い税法も複雑化・多様化しており、近年だけでも軽減税率やインボイス、電子帳簿保存法など、様々な会計処理のルールが追加されました。
日常業務に追われる中で、最新の税制改正や事例研究を自主的に学ぶことが困難になっています。そこで研修受講を義務化することで、税理士としての資質向上を図る取り組みが進められたのです。
平成13年度の税理士法改正では努力義務規定が設けられ、その後、日税連や各税理士会の会則・規則において36時間の研修受講が正式に義務化されました。これにより、税理士が常に最新の専門知識を維持し、クライアントに最適なサービスを提供できる体制が整えられています。
研修の種類・対象者
研修義務の対象者は、日本税理士連合会および全国15ある税理士会の全会員です。研修には、大きく分けて以下の3種類があります。
・連合会や各税理士会が主催の研修
・大学、公的機関、民間機関などが主催する認定研修
・その他の研修(認可前を含む)
とくに連合会・各税理士会が行う「登録時研修」は、税理士登録から1年以内の新人税理士に課せられる重要な義務です。未受講の場合は、翌年に受講しなければなりません。
従来は会場での3日間集中受講が必要でしたが、コロナ禍の影響もあり、2021年10月からはマルチメディア方式(インターネット配信やDVDの視聴)での受講も可能になりました。
研修の受講期間
研修は、毎年4月から翌年3月までの間に36時間以上受講する必要があります。ただし、事業年度の途中で登録した税理士は、以下のルールで受講時間を計算します。
【例:8月に新規登録した場合】
・9月〜翌年3月まで(7ヶ月間)の期間で受講時間を算出する
・36時間÷12ヶ月×7ヶ月=21時間(月数で按分)
⇒21時間の研修受講が義務付けられる
研修を受講しないとどうなる?
税理士の研修受講は、税理士法上では「義務付ける」とまでは記載されておらず、36時間の研修義務を満たさなくても直接的な罰則はありません。
しかし、日本税理士会連合会及び各税理士会は2015年に会則を変更して研修の義務化を明文化、更に「税理士情報検索サイト」で各税理士の研修受講状況(受講義務時間と受講実績時間)を一般に公開しています。
このサイトでは、税理士の研修達成率が誰でも確認できます。つまり、研修を怠ると「自己研鑽に積極的でない税理士」というイメージを持たれかねず、クライアントからの信頼を損なう恐れがあるのです。
研修受講は単なる形式的な義務ではなく、税理士としての専門性を維持・向上させる重要な機会です。社会的信用を保ち、顧客満足度を高めるためにも、研修は積極的に活用すべきでしょう。
「信頼される税理士」であるためには、日々の研修だけでなく、業務全体への理解も欠かせません。税理士の基本的な役割や業務範囲については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
▶税理士とは?業務内容や資格の難易度・年収について紹介
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■税理士研修の主な内容
税理士法・職業倫理に関する研修
税理士法・職業倫理に関する研修では、税理士としての使命を果たすために不可欠な高度な識見と倫理観を養います。具体的には、守秘義務や独立性の保持、公正な立場の維持など、税理士として守るべき基本的な倫理規範について学びます。
現在はオンラインでの受講も可能となり、忙しい税理士でも自分のペースで職業倫理について学べる環境が整っています。
租税法・会計に関する研修
租税法・会計に関する研修は、日本税理士連合会の研修規則に定められています。税法改正や会計基準の変更に対応するための内容が中心です。
税理士会主催の研修だけでなく、事前認定を受けた大学や公的機関による研修も対象となります。
情報処理・ITスキルに関する研修
情報処理・ITスキルに関する研修は、税理士研修の必須科目の一つです。
日本税理士連合会の研修規則には「情報処理に関するもの」が明記されており、税務業務に必要なコンピュータやインターネット技術に関する内容が対象となります。
2.5〜3時間程度のテーマ別講座や、法人税・所得税などの実務シリーズ講座があり、電子帳簿保存法・AI・DXなど最新技術に関する専門的な内容が学べます。近年のデジタル化により、IT分野の知識なしでは事業の維持・拡大が困難になりつつあることから、多くの税理士にとって重要な学びの機会となるでしょう。
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税理士法・職業倫理に関する研修では、税理士としての使命を果たすために不可欠な高度な識見と倫理観を養います。具体的には、守秘義務や独立性の保持、公正な立場の維持など、税理士として守るべき基本的な倫理規範について学びます。
現在はオンラインでの受講も可能となり、忙しい税理士でも自分のペースで職業倫理について学べる環境が整っています。
租税法・会計に関する研修
租税法・会計に関する研修は、日本税理士連合会の研修規則に定められています。税法改正や会計基準の変更に対応するための内容が中心です。
税理士会主催の研修だけでなく、事前認定を受けた大学や公的機関による研修も対象となります。
情報処理・ITスキルに関する研修
情報処理・ITスキルに関する研修は、税理士研修の必須科目の一つです。
日本税理士連合会の研修規則には「情報処理に関するもの」が明記されており、税務業務に必要なコンピュータやインターネット技術に関する内容が対象となります。
2.5〜3時間程度のテーマ別講座や、法人税・所得税などの実務シリーズ講座があり、電子帳簿保存法・AI・DXなど最新技術に関する専門的な内容が学べます。近年のデジタル化により、IT分野の知識なしでは事業の維持・拡大が困難になりつつあることから、多くの税理士にとって重要な学びの機会となるでしょう。
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■税理士の研修には免除制度がある
免除が認められる主なケース
税理士の36時間研修義務には、特定の条件下で免除が認められる制度があります。主な免除事由は以下のとおりです。
・負傷、疾病による療養中の場合
・震災、風水害、火災などの災害被害に遭った場合
・税理士法第43条後段に規定される報酬ある公職(国や地方自治体の職員など)に就任した場合
・国会議員や地方議会議員に就任した場合
・出産、育児、介護による場合
一部免除と完全免除の違い
税理士の研修義務には、一部免除と完全免除の2つの区分があります。
完全免除は36時間の研修義務がすべて免除されるケースで、前述の免除事由(疾病、災害、公職就任など)に該当する場合に認められます。
一方、一部免除は研修時間の一部が軽減されるケースです。
例えば、特定の研修科目のみが免除されたり、必要時間数が減ったりする形で適用されます。部分的に業務ができる状況(回復途中の疾病など)や、一時的な事情で特定期間のみ研修に参加できない場合などが対象となります。
免除申請の手続きと注意点
免除は自動的に適用されるものではありません。
免除を希望する場合は「研修受講義務免除に関する申述書」を事業年度終了日から3カ月以内に提出する必要があります。この期限を過ぎると免除は認められません。
申述書には、免除事由を証明する具体的な書類の添付が必要となります。例えば、疾病の場合は医師の診断書、育児中であれば母子手帳の写しなどが求められます。
注意すべきポイントは、年度をまたいだ長期間にわたり研修を受講できない場合でも、事業年度ごとに申述書の提出が求められることです。一度の申請で永続的に有効となるわけではないため、期限内に手続きを怠ると「受講義務不履行」と判断されるリスクがあります。
提出された申請は、各税理士会で厳正に審査され、受付から原則2カ月以内に結果が通知されます。
免除申請の審査基準
審査では、免除事由の真実性と研修受講が困難である合理的理由が重視されます。単に「忙しい」といった理由では免除は認められないため、具体的かつ客観的な証明が不可欠です。
審査結果の通知まで2か月程度かかることも含め、個別の事情に応じて適切な免除申請を行うためには、十分な準備が必要です。
免除事由に該当する可能性が浮上した場合は、早めに所属税理士会へ相談することをお勧めします。
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税理士の36時間研修義務には、特定の条件下で免除が認められる制度があります。主な免除事由は以下のとおりです。
・負傷、疾病による療養中の場合
・震災、風水害、火災などの災害被害に遭った場合
・税理士法第43条後段に規定される報酬ある公職(国や地方自治体の職員など)に就任した場合
・国会議員や地方議会議員に就任した場合
・出産、育児、介護による場合
一部免除と完全免除の違い
税理士の研修義務には、一部免除と完全免除の2つの区分があります。
完全免除は36時間の研修義務がすべて免除されるケースで、前述の免除事由(疾病、災害、公職就任など)に該当する場合に認められます。
一方、一部免除は研修時間の一部が軽減されるケースです。
例えば、特定の研修科目のみが免除されたり、必要時間数が減ったりする形で適用されます。部分的に業務ができる状況(回復途中の疾病など)や、一時的な事情で特定期間のみ研修に参加できない場合などが対象となります。
免除申請の手続きと注意点
免除は自動的に適用されるものではありません。
免除を希望する場合は「研修受講義務免除に関する申述書」を事業年度終了日から3カ月以内に提出する必要があります。この期限を過ぎると免除は認められません。
申述書には、免除事由を証明する具体的な書類の添付が必要となります。例えば、疾病の場合は医師の診断書、育児中であれば母子手帳の写しなどが求められます。
注意すべきポイントは、年度をまたいだ長期間にわたり研修を受講できない場合でも、事業年度ごとに申述書の提出が求められることです。一度の申請で永続的に有効となるわけではないため、期限内に手続きを怠ると「受講義務不履行」と判断されるリスクがあります。
提出された申請は、各税理士会で厳正に審査され、受付から原則2カ月以内に結果が通知されます。
免除申請の審査基準
審査では、免除事由の真実性と研修受講が困難である合理的理由が重視されます。単に「忙しい」といった理由では免除は認められないため、具体的かつ客観的な証明が不可欠です。
審査結果の通知まで2か月程度かかることも含め、個別の事情に応じて適切な免除申請を行うためには、十分な準備が必要です。
免除事由に該当する可能性が浮上した場合は、早めに所属税理士会へ相談することをお勧めします。
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