税理士の仕事内容とは？独占業務や働き方・資格の魅力をわかりやすく解説

税務申告や経営相談、相続やなど、ビジネスに関わる重要な業務を担う税理士。
「税のプロフェッショナル」として需要は年々高まっており、多くの企業や個人事業主から頼られる存在です。

しかし、具体的にどのような仕事を行い、どんなキャリアパスがあるのか、詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。
本記事では、税理士の独占業務を含めた仕事内容、働き方の選択肢、資格取得のメリットをわかりやすく解説していきます。


【目次】
■税理士の5つの仕事内容
・【独占業務】税務代理
・【独占業務】税務相談
・【独占業務】税務相談
・会計業務
・各種コンサルティング業務

■税理士の主な働き方と年収目安
・独立開業
・大手税理士法人所属
・中小会計事務所勤務
・一般企業勤務（企業内税理士）

■税理士資格の魅力とは？
・景気に左右されず仕事が確保できる
・多様な働き方を選択できる
・ダブルライセンスで業務を拡大できる
・キャリアアップや転職における強力な武器になる

■税理士は安定性が高く多様な働き方を選択できる仕事

税理士の主な仕事内容は、大きく以下の5つに分類されます。

・税務代理（独占業務）
・税務書類作成（独占業務）
・税務相談（独占業務）
・会計業務
・各種コンサルティング業務

それぞれの詳細を見ていきましょう。


【独占業務】税務代理
税理士の独占業務の一つである税務代理は、納税者に代わって税務官公署に対して行う法律行為です。具体的な業務内容には、税金の申告や納付手続きを代行すること、税務調査や処分に対する主張についてクライアントの代理をすることなどが含まれます。

特に税務調査においては、納税者に代わって税務の詳細を調査官に説明・主張する重要な役割を担います。税務調査が入ると数日にかけて過去の帳簿や通帳などを調査するので、そこで顧問税理士も知らなかった問題点が発覚したり、もともと調査で話題になるかもれないと予見していたことについて指摘があったりする場合があります。

税務調査では税理士ですら即答出来ない質問が来ることもあり、会計経理を専門に業務を行っているわけではない経営者では、とても対応出来ない指摘や質問ばかりです。
そこで、税務署とお客さんの間に立って必要な説明を行いながら、双方納得のいく落としどころを見つけるのが税理士の役目にあたります。
このように税務代理には、税法に関する深い知識と専門性が求められます。税理士だからこそ、複雑な税務の諸問題に対して適切な対応が可能となるのです。


【独占業務】税務書類の作成
税務書類の作成も、税理士資格を持つ者のみが行える業務です。所得税、消費税、法人税などの確定申告書類や、年末調整、法定調書など、税務署に提出する書類の作成を納税者に代わって行います。

税金の申告は、本来納税者本人が行うものです。しかし、日本の税法はなかなか難解で、個人の医療費控除や住宅ローン控除の申告程度ならまだしも、金額が大きくなればなるほど、知識のない人が申告書を正しく作成するのは難しいという現実があります。
そのため、税理士や会計事務所スタッフが、税務申告書の作成代行を業務として行っているのです。

税務書類の作成は税理士の独占業務ですが、税理士だけで顧客全ての税務申告書類を作成するのは現実的に難しいケースもあります。書類の敲きはスタッフが作成し、最終的なチェックと修正、承認を税理士が行うという分業体制をとる事務所も多く存在します。


【独占業務】税務相談
税理士は、企業や個人からの相談に対して、税法の解釈や適用、税務上の問題点について専門的なアドバイスを提供できます。

税務相談には、税額シミュレーションの作成や、課税リスクの分析、税金の節税対策の提案なども含まれます。税法の正しい理解と実務経験に基づく判断力が必要となるため、税理士にのみ認められた独占業務として定められているのです。


会計業務
税理士事務所では、企業の会計記録の管理や決算書作成といった会計業務も担います。
日々の取引を正確に記帳し、月次決算や年次決算の処理を行い、財務諸表（貸借対照表、損益計算書など）を作成することが主な業務です。
厳密には「税務」ではなく「会計」領域の業務のため、税理士より公認会計士の分野ではありますが、簿記論と財務諸表論を履修した税理士は問題なく対応出来る業務です。
また、簿記3級から2級程度の知識があれば対応可能なため、資格のないスタッフやパート・アルバイトの主業務としているところが多くあります。

近年は、freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計ソフトを活用し、業務の効率化を図る企業が増加しています。税理士には、これらのツールを活用して会計業務の生産性を高めつつ、より付加価値の高いサービスを提供することが求められています。


各種コンサルティング業務
税理士のコンサルティング業務は、顧客の経営課題に対して総合的なアドバイスを提供する重要な役割です。具体的には、事業承継対策、M&A支援、資金調達アドバイス、財務戦略の立案などが含まれます。
こちらも本来、公認会計士がメインで行うことが多い業務ですが、経営コンサルティングの中には法人設立や節税対策など、税の知識が必要とされる内容も多く、税務顧問業務と合わせてコンサルティングを行う会計事務所・税理士事務所は増えています。

近年では、経営改善計画の策定支援や、補助金・助成金の申請サポート、海外進出に関する税務アドバイスなど、コンサルティング業務の範囲が更に広がっています。
税理士は、税務の専門家としてだけでなく、経営のパートナーとして企業の持続的な成長を支援しているのです。


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税理士には主に以下4つの働き方があります。

・独立開業
・大手税理士法人所属
・中小会計事務所勤務
・一般企業勤務（企業内税理士）

それぞれの特徴やメリット・デメリット、収入目安などを紹介します。


独立開業
独立開業は、税理士としてのキャリアを活かして自分の裁量で事務所を運営できる働き方です。いわゆる個人事業主としてのスタートになるため、個人の判断で業務の選択や時間配分が可能で、柔軟な対応力を発揮できる点がメリットです。
まずは自分のみ、もしくは家族やパートスタッフ1・2名でのスタートとなるため、大手事務所と比べてリーズナブルな料金でサービスを提供できます。また、顧客一人ひとりのニーズに合わせたきめ細やかな対応を実現できることが大きな強みとなります。

規模が小さいことによるデメリットは、確定申告期などの繁忙期には業務が集中し、スケジュール調整が難しくなることです。また、人的リソースの制約から受けられる依頼に限界が生じる可能性があります。

事業拡大を目指す場合は、人員の採用リソースやコスト、就業規則の策定などの工数やそれに伴う制限が発生し、人件費がかかるようになると価格反映もせざるを得なくなるなど、当初のメリットが失われていきます。
一方で、スタッフが増えることでより多くの顧客ニーズに応えられるようになり、業務を分担できるようになることで働き方の改善が見込まれるなど、当初のデメリットは解消されていく傾向にあります。
独立を目指すときは、どのような働き方でどのような規模感の事務所を目指すか、あらかじめ計画しておくと良いでしょう。


大手税理士法人所属
大手税理士法人では、法人部門や資産税部門など、専門分野に特化したキャリア形成が可能です。
国際的な大規模税理士法人、特にBIG4と呼ばれる会計グループに所属する税理士法人では、クロスボーダーM&Aや移転価格税制などの高度な専門業務や、国際税務や海外転勤などグローバルな業務に携わるチャンスも豊富に用意されています。

業界水準より高い給与や賞与、広いオフィスや充実した福利厚生、フレックス制度やリモートワークなどの待遇面におけるメリットが大きい反面、難易度の高い仕事の量も多く、所属部署によっては激務を覚悟する必要があります。

また、会計業界では100名を超えると「大手・準大手」と冠される規模となります。
BIG4を除いた大手・準大手法人では、国内を専門に拠点展開しているところ、コンサルティングに強みを持つところ、相続・資産税に強みを持つところなど、特化型も多く、自身のキャリアを見据えた選択も大切です。

税理士事務所の仕事内容は、以下の記事で詳しく解説しています。
▶税理士事務所の仕事内容について徹底解説


中小会計事務所勤務
中小規模の会計事務所では、地域密着型のサービスを提供できることが特徴です。
個人事業主や中小企業を主な顧客として、記帳代行、月次入力チェック、決算書作成、税務申告に加え、経営相談や相続に関するコンサルティング業務まで幅広く携わります。

大規模事務所と比べると専門特化した業務より法人顧問をメインとしたところが多く、幅広い実務経験を積むことが求められます。将来独立開業を目指す税理士にとっては、実践的なスキルを習得できる貴重な機会となるでしょう。

税理士事務所と会計事務所の違いについては、以下の記事を参考にしてください。
▶税理士事務所と会計事務所の違いとは？選び方のポイント徹底解説


一般企業勤務（企業内税理士）
一般企業に所属する企業内税理士は、企業の経理・財務部門で重要な役割を担います。
主な業務には、決算業務の管理、税務申告書の作成、税務調査対応、そして経営陣への税務アドバイスが含まれます。

企業内税理士の最大の特徴は、一つの企業の税務を深く理解し、継続的にサポートできる点です。海外進出企業では、国際税務に触れる機会も得られるでしょう。
一方で、税理士としての業務が企業内に限定され、幅広い税務経験を積みにくい面があります。

また、一般企業で税理士としての知識や資格を活かせる環境は、上場企業など経理財務部だけである程度の人数が担保されている規模感で、日常経理などを任せられる人員がいる企業に限られます。
中小企業など、経理担当が1人だけ、経理部として独立していないといった規模感の場合、簿記の知識で対応出来る業務が中心となるため、物足りなさを感じるかもしれません。


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以下では、税理士資格が持つ4つの魅力について詳しく解説していきます。


景気に左右されず仕事が確保できる
税理士は、納税という国にとって重要な法律の専門家であるため、コロナ禍のような状況を含めた景気変動によって仕事を失うリスクが少ない、安定性の高い職業といえます。

税理士は税務書類の作成、税務代理、税務相談という3つの独占業務を持ち、景気に左右されることなく仕事を確保できます。
企業や個人は法律で定められた税金の申告義務があることから、税理士の専門知識が常に求められているためです。
特に社内税理士などの専門職がいない中小企業からの需要は高く、経営者の良きアドバイザーとして長期的な関係を築くことができるでしょう。


多様な働き方を選択できる
税理士には、多様な働き方の選択肢があります。税理士法人や会計事務所への勤務、企業内税理士としての就職、そして独立開業など、自身のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が可能です。
各分野における専門性を高めることで、キャリアの可能性はさらに広がります。近年は国際税務の需要も高まっており、海外進出企業での活躍の機会も増えています。

また、クラウド会計ソフトやオンラインミーティングシステムの普及により、場所や時間にとらわれない柔軟な業務スタイルが実現可能になってきました。
このようなデジタル化の波はリモートワークを可能にしたことで、特に子育て中の女性税理士の活躍を後押ししています。


ダブルライセンスで業務を拡大できる
税理士資格は、他の資格との相性が良いことが特徴です。
具体的に、相続を専門とする税理士なら宅地建物取引士、中小企業を顧客とする税理士なら就業規則や労務の相談にも乗れる社会保険労務士や中小企業診断士などの資格を組み合わせることで、既存の業務に新たな視点を加えた総合的なサービスを提供できます。

関連資格の中には、税理士同様に独占業務が設定されていることもあります。
税理士資格と合わせて関連資格を取得することで、業務の幅が拡大し、ワンストップサービスが提供できる税理士として、競争力の向上につながるでしょう。


キャリアアップや転職における強力な武器になる
税理士資格は多様なキャリアパスを選択できる強みを持っています。
転職市場では、会計税務・経理業界はもちろん、経営数字を理解した務戦略を立案できる人材として、経営企画や営業部長としても高い評価を得られます。

近年では、税理士の専門性が企業のM&Aや事業承継の場面でも重要視されており、投資ファンドやM&Aコンサルティング会社からの求人も増加傾向にあります。これは、税務の専門知識に加えて、財務分析能力や法務の知見を活かせる分野として注目されているためです。

また、すでに企業で活躍している方にとっても、経理部門のマネージャーやCFOといった経営幹部としてのキャリアアップには、税理士資格や必須科目である簿記論・財務諸表論の合格は有効な武器となるでしょう。
税理士資格は税務の専門家としてだけでなく、企業経営に関わる様々な場面でキャリアの可能性を広げる切り札となります。


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税理士は、税務書類の作成や税務相談などの独占業務を中心に、会計業務や経営コンサルティングまで幅広い業務を担当しています。
働き方も独立開業から企業内税理士まで選択肢が豊富で、年収は経験や立場によって1,000万円を超えることもあります。

資格取得は難関ですが、独占業務による安定性や働き方の自由度の高さ、さらにはキャリアアップの可能性など、多くのメリットがあります。まずはスタッフとして、一度会計事務所の業務を覗いてみませんか？

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