税理士事務所と会計事務所の違いとは?選び方のポイント徹底解説

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税理士事務所と会計事務所の違いとは?選び方のポイント徹底解説

税理士事務所と会計事務所での違いは何でしょうか?
税理士を目指して転職したい方々にとってどちらを選択するのが良いか迷う、という声はよく耳にします。

本記事では、税理士事務所と会計事務所の違いを解説し、自身のキャリアに最適な事務所を見つけるポイントをご紹介します。



【目次】
■名称の違いにみる税理士事務所と会計事務所の基礎知識

 ・税理士事務所と会計事務所は同じ業務を行う事務所の呼び方
 ・実務における提供サービスの範囲
 
■税理士事務所と税理士法人の違い
 ・個人事務所と税理士法人の組織構造の違い
 ・税理士事務所に転職するメリット、デメリット
 ・税理士法人に転職するメリット、デメリット

■自身のキャリアに最適な事務所の選び方
 ・キャリアに最適な事務所選びのポイント
 ・事務所選びで確認すべきチェックポイント

■名称の違いにみる税理士事務所と会計事務所の基礎知識

■名称の違いにみる税理士事務所と会計事務所の基礎知識
税理士事務所と会計事務所は同じ業務を行う事務所の呼び方

税理士事務所と会計事務所の違いについて、初めてこの業界に触れる方は疑問を持つことが多いですが、実は基本的にこの2つは同じ事務所を指す異なる呼び方なのです。
「税理士が設ける事務所は税理士事務所と称する」と税理士法で定めているため、正式名称は税理士事務所ですが、一般的には会計事務所という呼び方が広く使われています。

会計事務所という呼称が本来の税理士事務所より定着している理由は、税務業務だけでなく、記帳代行や決算書作成、経営コンサルティングなど、幅広い会計サービスを提供しているからという説や、税務より会計の方が身近で覚えやすいという説など、いくつか通説があります。

基本的には同じ業務内容であることが多い2つの呼称ですが、公認会計士が代表を務める会計士事務所は、税務を行わず会計監査業務のみに特化している場合があり、敢えて「公認会計士事務所」としているケースがあります。
しかし公認会計士は税理士の資格を兼ねているため、会計と税務を合わせて行う事務所の方が多く、会計事務所の名称を使用していても概ね税理士事務所と会計事務所は同じという認識で間違いありません。



実務における提供サービスの範囲

税理士事務所・会計事務所では、経理財務を中心に企業の経営を支援する多様なサービスを提供しています。

基本的なサービスとしてあげられるのは、記帳代行、法人税・消費税の申告、決算報告書の作成です。お金や税金周りのことを税理士事務所・会計事務所に依頼することで、経営者は本業に集中でき、煩雑な作業から解放されます。

税理士事務所・会計事務所では税務調査対応や、専門分野によっては事業承継、相続税対策といったサービスも提供しており、特に事業承継では承継方法の確定から計画書作成まで、包括的なサポートを行うことがほとんどです。
最近では、freee会計などのクラウド会計ソフトの導入支援や、Zoomなどのオンラインツールを活用した相談対応も行っています。
また、就業規則の設定や労務管理、不動産の管理、特許管理など、他士業の専門とする領域の相談窓口になることも多く、業務提携している士業事務所も多くあります。

これらのサービスは、企業の規模や業態に応じて柔軟にカスタマイズされ、経営者の「困った」に寄り添った支援を提供しているのです。
税理事務所・会計事務所の主要業務については、こちらに詳細な解説がありますので、合わせてご覧ください。
会計事務所って、何をするところ?~主要3業務の内容~

■税理士事務所と税理士法人の違い

■税理士事務所と税理士法人の違い
個人事務所と税理士法人の組織構造の違い

税理士法人は合名会社として組織され、2名以上の税理士が所属する必要があります。支店展開が可能で、大規模な組織運営を行えることが特徴です。
大手企業との取引も増えて組織としての信頼性は高く、福利厚生や人事制度が整っていることが多くなります。
就職先として選んだ場合は、安定した待遇や年収、専門性の高い業務経験が期待できるでしょう。

一方、税理士事務所は個人事業主が運営するので、税理士1名でも開業できます。
所長を中心とした小規模な経営形態で、個人事業主や中小企業との取引が中心となるため、顧客と密接な関係を築きやすく、創業からの付き合いとなる顧客も多いのが特徴です。
就職先として選ぶと、法人顧問の一連の業務を経験することが出来、業務の全体像を早い段階で掴むことが出来るでしょう。

この組織構造の違いは、業務の進め方や対応力に大きく影響します。
税理士法人は組織的で幅広いサービス提供が可能である一方、税理士事務所は柔軟な対応と細やかなサポートが強みとなっています。
事務所の規模による業務や特徴の違いは、こちらの記事もご参照ください。
大手会計事務所と個人会計事務所の業務の違い



税理士事務所に転職するメリット、デメリット

税理士事務所のメリットは、個人事業主による運営のため、クライアントの要望に対して意思決定が早く、柔軟で迅速な対応が可能な点です。
大半の顧客は個人事業主~中小企業の規模感となるので、経営者と直接コミュニケーションを取れる機会も多く、より経営に深く入り込んだサポートが出来る、深い信頼関係を築きやすい環境があります。
また、社員人数が多くないため業務が細分化されておらず、法人税務顧問を中心に一連の業務の流れを自身で対応出来るようになる必要があります。取引先で相続や承継が発生した場合も、担当する部署がないので所長のサポートを受けながら自身が中心となって対応することが多く、将来独立を考えている人は一度は経験しておくと役に立つでしょう。

一方でデメリットとして、個人運営の特性上、提供できるサービスの範囲が限定的な点です。特に、国際税務や大規模なM&Aといった専門性の高い案件への対応力は、その方面に特化していない限り、税理士法人と比べると経験出来る機会や規模が限られています。
税理士が代表以外在籍していないケースもあり、代表が休暇や出張などで不在の場合に、緊急の問い合わせや相談がしたくても対応が難しいという課題もあります。
また、福利厚生や就業規則が整っていない場合も多く、様々なことに臨機応変に対応していく必要があり、大変だと思う方もいるかもしれません。



税理士法人に転職するメリット、デメリット

税理士法人を選択する最大のメリットは、複数の税理士が在籍しているため幅広い知見が集まり、顧客の規模や数も増え、経験出来る業務の幅が広くなることです。
法人規模によっては法人部門、相続部門、国際部門といったように複数部署に分かれていることもあり、より専門的に深く知識や経験を得ることが出来ます。
また、法人として必要な福利厚生や人事制度、教育体制も個人事務所より整っており、キャリアアップの見通しも立てやすくなるでしょう。

デメリットとしてあげられるのは、組織が大きくなるにつれて意思決定に時間がかかり、融通の利かない点は増えてくるという点です。
試験勉強や子育てとの両立のために時短やリモートワークをしたくても制度として認められていなかったり、経験したい業務の部署異動が叶わなかったり、大勢の社員がいることで個人個人に特別な対応出来ないことも増えていきます。

■自身のキャリアに最適な事務所の選び方


キャリアに最適な事務所選びのポイント

税理士、または税理士を目指す過程で最適な事務所を選ぶ際は、まず自身の専門性や志向をしっかり自己分析し、それに合った規模・方向性の事務所を見極めることが重要です。

小規模事務所では、クライアントと密接なコミュニケーションを取りながら、迅速で柔軟な対応が求められます。代表税理士から直接指導を受けられる機会もあり、基本的な税務業務を経験することが出来ます。
中規模事務所では、M&Aや事業承継など、複数の税理士が連携して専門的な案件に対応する機会が増えます。チームで動くことも増え、より規模が大きかったり複雑な税務や会計が絡んだりする業務も経験出来るでしょう。
大規模な税理士法人では、上場企業の国際税務や組織再編といった高度な専門知識を要する業務に携わることができます。福利厚生や教育環境が整っており、安定して業務に取り組むことが出来るでしょう。

特に、これからキャリアを築こうとする場合は、将来の成長も見据えて、研修制度や資格取得支援が充実している事務所を選択することをお勧めします。基本的な業務は小規模事務所の方がくまなく経験出来ますが、少人数のため教育はOJTというケースが多く、座学を含めきちんとした研修を受けたい場合は中堅以上の税理士法人が良いでしょう。
自身の勉強スタイルがどちらに合っているか考え、向いている方を選ぶと良いと思います。

業種への理解度も重要な選択基準です。IT企業、建設業、飲食業など、それぞれの業界は特有の会計処理や税務も存在します。
それらに精通した事務所もあるため、将来家業を手伝いたい、起業したいと考えているのなら、特化型の事務所を選ぶことでより実践的なスキルを身につけることができます。



事務所選びで確認すべきチェックポイント

ゆくゆくは地元に帰って独立したいという希望がある方は、地域特性を考慮した事務所選びをすることも、将来のキャリアを左右する重要な判断となります。
農業地域では農林系や小売り系の会計処理に強い事務所、工業地域では製造業の税務に詳しい事務所を選ぶことで、専門的なノウハウを効率的に習得できます。

また、郊外に行くほど地元企業や税理士会とのネットワークの充実度も重要です。地域の金融機関や取引先企業との強いパイプを持つ事務所では、顧客紹介を受けたりセミナーの依頼があったり、税務以外の面でも幅広い経験を積むことができます。

さらに、先述の通り事務所の規模と組織体制も慎重に検討すべきポイントです。大規模な事務所では最新の税務状況に迅速に対応できる一方、小規模な事務所ではよりパーソナライズされた経験を積むことができます。
特定の業界やスタートアップ企業支援に特化をした会計事務所、相続や承継など特定の税法に特化をした税理士法人など、目指すキャリアが明確であるほど選びやすくなるでしょう。
選び方のポイントは、こちらの記事も参照してみてください。
自分に合う事務所を選ぼう!タイプ別「会計事務所での仕事」

■税理士事務所・会計事務所とともに成果を上げよう

今回は税理士事務所と会計事務所の違い、税理士法人、会計士事務所について解説しました。税理士事務所と会計事務所の位置付けが同じであることもご理解いただけたと思います。

会社規模や業界、また地域特性など様々な観点から、税理士法人や会計事務所を十分に比較して、自身のキャリアに最適な事務所を選び、目的地を目指していきしょう。


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