経理の将来性が不安！？なくなる業務やAI時代に求められるスキルを解説

「AIが経理業務を奪う」という言葉を耳にして不安を感じていませんか？

確かに、伝票処理や仕訳入力といった定型業務は自動化が進んでいます。しかし、経理職の実態は「データを分析して活用すること」であり、単なる「消える職業」ではありません。AIが台頭する今だからこそ、経理職には新たな価値と可能性が広がっているのです。

本記事では、経理職に将来性がないと言われる理由やAIに代替されない業務、これからの経理職に求められるスキルを紹介します。


【目次】

■経理職に将来性がないと言われている理由
　・AIやRPAによる定型業務の自動化が進んでいるから
　・電子帳簿保存法改正でペーパーレス化が加速しているから

■AIに代替されない業務とは
　・戦略的な経営判断を支える専門分野
　・折衝や企画などの非定型業務

■将来も経理職として活躍するために必要なスキル
　・データ分析と活用能力
　・マーケティング力とビジネス思考力
　・コミュニケーション能力
　・ITリテラシーと最新テクノロジーへの適応力

■AI時代に活躍できる経理職を目指そう

・AIやRPAによる定型業務の自動化が進んでいるから
定型業務とは、作業手順や判断基準が明確で、繰り返し発生するルーティン業務です。具体的には請求書作成、会計システムへの入力、経費精算などが該当します。

ルールが明確で反復性の高い業務や、複数システムを跨ぐ業務、大量のデータ処理において、人間はAIにかないません。また、それらの作業を休憩を挟まず何時間でも続けられるのも、AIの強みです。

長時間の単純作業による人為的ミスの発生を防止する観点からも、定型業務はAIやRPAが代替したほうが効率が良い側面があります。また、人件費や働き方改革の点からも、多くの定型業務はRPAやAIの導入によって効率化が進んでいるのが現状です。
経理業務で最も数が多い会計データ入力や請求書作成の自動化が進み、人的コストが削減可能になっていることが、「経理職がいらなくなるのでは」と言われる理由の最も大きいところとなっています。


電子帳簿保存法改正でペーパーレス化が加速しているから
電子帳簿保存法の改正により、帳簿書類のデータ保存要件が緩和されたことで、経理業務のペーパーレス化が急速に進展しています。請求書や領収書などの書類を紙ベースで保管・整理する必要がないため、経理部門で必要とされる人手が大幅に減少しているのです。

ペーパーレス化に向けた法整備は現在も進行しており、経理業務の効率化とデジタルトランスフォーメーションを加速させる契機となっています。それに伴い、経理部門で必要とされる人手がますます減少していることが、「経理職に将来性がない」と言われる理由です。


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戦略的な経営判断を支える専門知識
中小企業では、経理職を雇わず会計事務所やアウトソーシング事業者へ外部委託するケースも多く、内製化出来ている企業でも伝票処理や仕訳といった定型作業がAIやRPAに置き換わりつつあります。

しかし、高スキルな経理人材への需要は依然として高いことも特徴です。
AIが定型作業を終えても、それが正しく完了出来ているかのチェックや、入力されたデータを用いた戦略的な経営判断を支える管理会計やM&A、税務対策、内部統制といった専門分野は、様々な要素が重なり人間の判断が欠かせません。
経理は単なる数字の管理ではなく、企業の経営判断に必要な財務データを提供する重要な役割を担っています。入力をされたデータを用いたその先の判断や活用、そのための知識を得ることで、AIに代替されない役割を担うことが出来ます。


折衝や企画などの非定型業務
非定型業務とは、手順が明確に定まっておらず、その都度判断が必要な業務を指します。
臨機応変な対応が求められる折衝業務や企画業務などはマニュアル化が難しいため、依然として人の手が必要な領域です。

また、定型業務をAIやRPAによって自動化することには、業務が硬直化して新たな改善が進まないリスクも存在します。確かに必要とされる人手は減りますが、テクノロジーを管理したり、時代に合わせて運用を変えたりする人間は不可欠なのです。

経理職の将来性を考える際は、非定型業務に対応できる判断力や専門性を身につけること、AIやRPAを統制できる人材を目指すことが必要でしょう。


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データ分析と活用能力
データ分析・活用能力は、AI時代における経理職の必須スキルとなります。
経理財務部門は、AIの台頭により従来業務が減少する一方、経営層や事業部への意思決定支援という新たな役割が期待されているからです。

データ活用には根拠となる会計知識だけでなく、集まったデータを目的ごとに統計・解析するスキルや、データを可視化・分析出来るよう整えるスキルが必要です。
これらのスキルを習得するには、書籍やeラーニング、資格取得などの個人学習に加え、研修参加や実務での実践を通じた経験の蓄積が重要です。


マーケティング力とビジネス思考力
単なる「数字処理担当」から「経営の意思決定に関わる存在」へと進化するうえで、カギとなるのがビジネス思考力です。これからの経理職には、財務データの背景にある事業環境や市場動向を理解し、数字を通じて経営課題を発見する能力が求められます。

具体的には、自社の財務状況を分析するだけでなく、競合他社との比較や業界全体のトレンドを把握し、改善提案や戦略立案を考える習慣をつけることです。
この能力を身につけるには、日々の業務で「なぜその数字になったのか」「どうすれば改善できるのか」を常に考えること、毎日のニュースをチェックして世間の関心やニーズがどこにあるかを把握するようにすることが大切です。

また、経営層と同じ視点で考えるため、経営戦略や財務戦略に関する書籍を読んだり、役職者と積極的にコミュニケーションを取るも効果的です。経理職がビジネス思考力を備えることで、AIに代替されない付加価値を生み出し、長期的な経理の将来性を確保できるでしょう。


コミュニケーション能力
コミュニケーションには、同僚との横のつながり、上司との縦のつながり、そして会計事務所などの外部パートナーとの連携があります。経理部門は会社のあらゆる部署と関わりを持ち、複雑な財務情報を分かりやすく伝える役割を担っています。

特に重要なのは、専門知識を持たない他部門・他社相手に、会計処理や数値の意味を説明できる能力です。
経理業務では他部署への依頼や調整が頻繁に発生するため、良好な関係構築が仕事の効率を左右します。例えば事業部とのミーティングでは会計処理の相談を受けたり、取引スキームを一緒に検討したりする場面もあり、その時お互いの立場や状況を分かっていることは、良い交渉の第一歩となります。
また、会計事務所や金融機関と会計・財務状況の相談をする時など、自社の状況や前提を知らない相手に適切な提案をしてもらうためには、自社のことも分かりやすく話せるようになっておく必要があります。

アクティブリスニングや明確な伝達力を意識的に磨き、多方面とのコミュニケーション力を身につけることで、AIに代替されない経理職を目指せるでしょう。


ITリテラシーと最新テクノロジーへの適応力
ITリテラシーは「情報を正しく扱う能力」「IT機器を正しく操作する能力」「ネットワークの仕組みやセキュリティの理解」の3要素から成り立っています。

様々な情報があふれる現代において、目にした情報を鵜呑みにせず真偽を確認することや、ワンクリック詐欺やウイルスの手口を知り回避するスキルは必須です。特に経理スタッフのPCがウイルスに感染するようなことがあると、会社の財務情報や口座情報が筒抜けになってしまうリスクがあります。

AIやRPAの導入が進む職場では、これらのテクノロジーを適切に操作し、経理システムの正常稼働を監視するスキルが求められます。単にシステムを使うだけでなく、その仕組みを理解し管理する役割は、AIが進展するほど需要が高まるでしょう。

さらに経理の将来性を高めるには、法律の知識も欠かせません。AIは決められたルールに従って処理を行いますが、そのルール設定や法改正への対応は人間の役割です。
会計や財務に関する法律を理解し、常に最新情報を把握することが、AI時代の経理職には求められています。


いずれのスキルも一気に身につけようとするのではなく、日々の行動や意識を変えることで、少しずつ積み重ねていく必要があります。積極的に新しい情報をキャッチアップして、知識をアップデートさせていきましょう。
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経理業務は、AIや自動化技術の進展により大きな転換期を迎えています。
定型業務の自動化が進む一方で、データ分析や経営戦略への参画など、より高度な判断を要する業務へ対応出来る人材の重要性が増しています。

ITリテラシーやデータ活用能力、ビジネス思考力などのスキルアップとともに、経理・会計の専門知識に磨きをかけることでAIを味方につけ、将来も活躍できる人材を目指せるでしょう。

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