公務員から税理士を目指す!転職成功への完全ガイド

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公務員から税理士を目指す!転職成功への完全ガイド

ここでいう「公務員」とは、市役所職員や教職員ではなく官公庁、特に国税局や税務署といった税務に携わる公務員です。
これらの経験が一定年数あれば税理士試験の科目が免除されるため、税務関連の公務員が定年後に税理士として開業するケースは多くあります。

この記事では、国税局や税務署職員から税理士を目指す具体的なルートや、転職活動のポイントを紹介します。実務経験を最大限に活かし、新たな目標を達成するための第一歩を一緒に踏み出しましょう。


【目次】

公務員から税理士を目指すルートとは?
 ・税理士試験の基礎知識
 ・公務員は税理士試験の科目免除制度を利用できる
 ・国家公務員から税理士を目指すパターン
 ・地方公務員から税理士を目指すパターン

税理士と公務員の違いを比較
 ・仕事内容や働き方の違い
 ・収入の違い
 ・試験の難易度の違い

公務員から税理士になる際の転職活動|タイミングやキャリアパス
 ・公務員として働きながら試験勉強すべき?
 ・税理士事務所へ転職して知識を深める
 ・一度、経理職を経て経験を積む道もある

公務員から税理士になる選択肢を視野に入れてみる


■公務員から税理士を目指すルートとは?

■公務員から税理士を目指すルートとは?
税理士試験の基礎知識
税理士になるためには、まず国家試験に合格しなければなりません。試験科目の詳細は以下のとおりです。

■会計科目(2科目)
いずれも必須:簿記論、財務諸表論

■税法科目(9科目)
いずれか1科目以上必須:法人税法、所得税法
いずれか1科目or2科目選択:相続税法、消費税法、酒税法、住民税、事業税法、国税徴収法、固定資産税
ただし、消費税法と酒税法、住民税と事業税は同時に選択することは出来ません。

上記の中から条件を満たすように計5科目に合格する必要がありますが、税理士は最難関クラスの国家資格であり、令和6年度の税理士試験の合格率は16.6%でした。
1科目に要する学習時間は約1,500時間で、特に社会人の場合、1年で1科目合格を目指すことが現実的なラインです。合格科目は生涯有効なため、自分のペースで学習を進められます。

以下の記事では、税理士になるまでの勉強時間や科目選択についてさらに詳しく解説しています。よろしければご覧ください。
税理士試験合格に必要な勉強時間とは?科目選択のコツや勉強法を解説
税理士資格取得のための科目選択法:あなたに最適なプランは?


公務員は税理士試験の科目免除制度を利用できる
税理士試験の5科目合格には長い時間を要しますが、国税局や税務署など、税務に関する業務を一定期間務めた公務員は、「科目免除制度」を利用できる可能性があります。これが、公務員から税理士を目指す人が一定数存在する理由です。

該当者や免除科目は税理士法で定められており、従事する業務の内容によって必要年数や免除科目が変わります。税法科目の免除には最短で10年、会計科目の免除には23年必要となり、新卒で国税局に入局した公務員の場合40代後半で税理士試験がすべて免除になる可能性があります。

免除となる条件の詳細については、下記法令の第8条を参照ください。
参考:税理士法|e-Gov法令検索


国家公務員から税理士を目指すパターン
国家公務員から税理士への転身を目指す場合、科目免除制度を利用するには国税庁や国税局、税務署、財務省などでの勤務経験が必要です。中でも「国税専門官」は、国税の税務調査事務に携わることから、以下の科目の免除対象になります。

・10年以上従事した場合:税法科目(固定資産税、住民税、事業税を除く国税のみ)
・23年以上従事した場合:税法科目+会計科目

ストレートで大学進学・卒業し、国税専門官になった方であれば、最短で46歳の年に税理士として登録できる計算になります。「これでは長すぎる」と感じる場合は、国税の税務調査事務を10年間経験しつつ、会計科目の2科目は勉強して試験を受けることで、より短期間で税理士を目指せます。


地方公務員から税理士を目指すパターン
地方公務員においては、都道府県税事務所や役所の税務課での勤務経験があれば、科目免除制度の対象となる可能性があります。税務に関する事務に従事した場合に免除される科目は以下のとおりです。

・10年以上従事した場合:地方税に関する税法科目
・15年以上従事した場合:税法科目
・23年以上従事した場合:税法科目+会計科目

従事期間は通算で良いとはいえ、異動がある地方公務員は、長年同じ業務に従事できるわけではありません。そのため、公務員を続けながら試験勉強を進めるか、税理士事務所や経理職に転職しつつ試験勉強を並行するルートが現実的です。



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■税理士と公務員の違いを比較

仕事内容や働き方の違い
税理士と国税局職員や税務署職員といった公務員の違いとして、第一に仕事内容が挙げられます。
税理士は税務相談や税務書類の作成など、顧客の経営サポートを含めた税務が主な業務となる一方、公務員の役割は法律や政策の執行、税務に関する内容としては課税・徴収がメインです。

働き方についても違いがあります。税理士は勤務先を比較的自由に選ぶことができ、資格を取れば独立の選択肢もあります。一方で、公務員は働く部署や範囲が定められており、数年に一度の異動を伴うことが特徴です。

仕事の「大変さ」について、一概に比べることはできません。職場(部署)を選べない点で、公務員に窮屈さを感じるシーンはあるでしょう。その代わり昇給や雇用は安定しており、突然勤め先が倒産したり統合されたりすることはありません。
税理士として税理士法人や会計事務所に勤務する場合、独立開業という選択も含め、比較的裁量をもって自由に仕事をすることが出来ます。ですが、業績悪化で廃業や収入が下がるなど、すべての責任を自ら担わなければならないという強いプレッシャーが伴います。

それぞれの業務内容や特徴を理解したうえで、進むべき道を見定めることが重要です。


収入の違い
年収に関しても、税理士と公務員には違いが見られます。人事院、総務省および厚生労働省の調査結果にもとづいて算出した平均年収は以下のとおりです。

国家公務員(税務職)・・・約702万円
地方公務員(一般職)・・・約642万円
税理士       ・・・約605万円

一見すると税理士の年収が低い印象がありますが、所属する税理士事務所や本人のスキルによって大きく左右されます。大手や独立開業している税理士の中には年収1,000万円を超える方も珍しくありません。働き方の違いによって、年収が大きく変動するのが税理士の特徴です。
一方、財源が税金である公務員は、良くも悪くも環境によって大きく給与が変動することはありません。これは働き方にも通ずるものがありますが、自由さと引き換えに安定していることが特徴です。

税理士の年収は低い?年代や勤務先ごとの平均年収・独立開業による収入アップについて解説!


試験の難易度の違い
税理士試験と公務員試験の難易度は勉強すべき内容や範囲が全く違うので、単純比較できませんが、合格率の違いが一つの指標となります。

国家公務員採用試験(令和6年度)・・・39.2%
地方公務員採用試験(令和6年度)・・・約35%
税理士試験(令和6年度)    ・・・16.6%

注意すべきなのは、税理士は「資格試験」であり、公務員は「採用試験」である点です。公務員の場合は採用人数との兼ね合いで合格率が変わるため、特に地方公務員は自治体ごとに15%~40%と大きな差があります。
また、受験には年齢制限があり、国家公務員の場合はおおむね30歳(法務省の一部のみ40歳)、地方公務員も大半が30歳以下となっています。

税理士試験は受験・資格取得ともに年齢上限の制限がありませんが、科目合格を積み上げていく必要があります。また、合格した後の就職先は別途探さなくてはいけません。
その点を考慮すると、試験合格に必要な時間や実際に就業するまでの労力は、圧倒的に税理士試験が大きいでしょう。



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■公務員から税理士になる際の転職活動|タイミングやキャリアパス

■公務員から税理士になる際の転職活動|タイミングやキャリアパス
公務員として働きながら試験勉強すべき?
公務員として勤務しながら税理士試験の学習を進める利点は、安定した収入基盤があり、経済的なプレッシャーを軽減できることです。試験合格後に就職活動をする場合も、慌てることなく自身に合った税理士事務所を探せます。
また、試験勉強を進めている間に科目免除の期間が経過すれば、その分勉強する科目数も少なくなり、合格までの道のりをショートカットできます。

退職して試験勉強に専念する場合は、学習時間を多く確保できるため最短合格の可能性が高まるでしょう。ただし収入源を確保できないと、勉強を継続できなくなる危険性もあります。税理士試験は年に1回しかないため、すべての科目に合格するまでには数年単位の時間がかかります。
税法科目免除の期間を経過しており、会計科目だけ合格すれば良い状態であれば1~2年で合格出来る可能性が高いですが、税法科目も全て合格しないといけない状態ですと5年~10年程度かかってしまう方も珍しくありません。

公務員を退職して資格取得に臨む場合は、税理士事務所や会計事務所にパート・アルバイトや時短正社員として勤務して、実務に触れながら学習を進めるのが現実的でしょう。


税理士事務所へ転職して知識を深める
税理士事務所に転職し、試験勉強を両立する方法もあります。特にパート・アルバイト勤務は未経験からでも始められるものもあり、資格試験との両立もしやすいです。
試験内容に直結する知識を実務の中で学べ、授業や模試に合わせたシフトの調整もしやすいため、試験勉強中の方には最適な環境でしょう。

また、税理士として登録するには、試験合格以外にも2年以上の実務経験が求められます。税理士事務所で税務・会計業務に携わることは、実務経験要件を満たすうえでも有効です。

税理士登録に必要な実務経験とは?正しい経験の積み方と転職に有利な実務経験を紹介


一度、経理職を経て経験を積む道もある
公務員から税理士を目指す際は、経理職を経て経験を積む道もあります。
経理職は企業の財務管理を担うポジションであり、会計の基礎をはじめ、多様な実務経験も得られます。また、組織内での調整力や法令遵守のスキルなど、国税局や税務署勤務の経験を活かせる部分も大きいでしょう。

「公務員→一般企業経理職→税理士」のルートを考慮することで、より多角的なキャリアプランが形成でき、税理士として独立する際の信頼性を一層高めることができます。


いずれのルートにしても、転職活動の際に考慮したいのは「年齢」と「年収」です。
国税局や税務署出身とはいえ、官公庁の業務は企業の経理や会計事務所の税務経験として求められるものとは異なるため、公務員時代の担当業務によっては未経験相当かそれに近いポジションでの採用となる場合もあります。
その場合、育成というステップを考慮してより若手が求められたり、年功序列で上がっていた年収が公務員時代より下がってしまったり、チャレンジの転職になる可能性もあるでしょう。



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■公務員から税理士になる選択肢を視野に入れてみる

国税局や税務署職員から税理士業界への転身を目指す際は、試験免除をどのように利用するか、どのタイミングで転職するのかを検討する必要があります。経済的な安定を得るためには、公務員として働きながら着々と学習を進め、試験勉強の負荷が減ったタイミングで転職するのがよいでしょう。

より短期での合格を目指したい場合や、税理士の仕事に直結する知識・スキルを身につけたい方は、税理士事務所や会計事務所、一般企業の経理職へ転職することも一つの方法です。業務内容の違いや許容できるリスクを十分に認識したうえで、自身のライフプランにマッチした道を選んでみてください。

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