会計事務所の1年~繁忙期における業務と閑散期について~

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会計事務所の1年~繁忙期における業務と閑散期について~

どの業界にも、繁忙期と閑散期があるものですが、とくに会計事務所はこの差が大きいのが特徴です。
簡単に言うと、寒くなってから梅雨入りまでが繁忙期、それ以外が閑散期にあたります。
今回は、そんな会計事務所の業務の中から繁忙期についてお話ししていきます。


確定申告繁忙期(2月~3月)

2月~3月は、言わずと知れた「確定申告」の時期です。
芸能人が「今年も無事、確定申告済ませました!」などSNSに投稿しているのを、見たことがある方も多いのではないでしょうか。

普段、会計事務所は会社の決算や経営相談業務を主な業務としています。
この時期は、そうした通常業務に加えて個人の確定申告業務が上乗せされるため、とくに忙しい時期となるのです。
会社の重役や地主さん、あるいは会社にはしていないけれど、個人で商売されている方々の所得集計や税金計算、そして税務署への申告までのお手伝いを行います。

コロナ禍の2年は密を避けるための特例として申告期限が延長されましたが、確定申告は申告期限も2月15日から3月15日までと決められており、前倒しや後ろ倒しで作業が出来ません。
事務所によって申告件数や申告1件あたりの業務量は異なりますが、通常残業がほとんどないような事務所でも、この時期は定時で帰れない事務所も多くなってしまいます。


法人決算繁忙期(4月~5月)

確定申告の時期を乗り切ったと思って一息つけば、次は、会社の決算申告期に突入します。
学校などもそうですが、日本には「年度」というものがあり、特に4月はじまりを基準としている会社が多くあります。
4月が1年のはじまりということは、終わりは3月。3月は年度の締めくくりの決算を行う会社がとても多くなっています。
法律で、会社は決算から2か月以内に資料をまとめ、法人税を申告しなくてはいけません。この作業を行うのが4・5月の期間となります。

事務所によって異なりますが、期間が一律で決まっている個人の確定申告に比べ、会社の決算期は1年中自由に設定できるので、件数は確定申告ほどではないことが多いです。
しかし、個人に比べて金額が大きいことや神経を使う作業が多く、1件あたりの処理量や必要時間は、個人の確定申告とは比べものになりません。
そして、決算書を見る人が依頼元の法人以外にも株主・取引先・銀行など多岐にわたるため、会計事務所の責任も大きくなると言えます。

また、個人の確定申告書に比べ、会社の税務申告書はとても複雑で時間を要します。
経営者と打ち合わせを重ねながら、何度も何度も処理をやり直し、決算書という作品を作りあげるようなイメージと言うとわかりやすいかもしれません。
さらに5月は、ゴールデンウィークなどの休日が多いため、連休明けの残業を覚悟しておく必要がありそうです。(事務所の規模や、業務体型によって異なる場合もあります。)


年末年始繁忙期(12月~1月)

年末年始の会計事務所業務は、会社の年末調整で忙しくなってきます。
とくに中小企業は、年末調整を自社で行える人がいないことも多いため、会社から依頼を受けて、年末調整業務の代行を請け負うケースが多くなっています。

そして年が明けると、年末調整の続きとして、「法定調書」や「給与支払報告書」といった税務署や市役所へ提出する書類の作成を行うことになります。
この時期の作業は、決算や税務申告などと比べると単純な作業が増えますが、正確な書類を作成する必要があるため、なかなか手間のかかる作業と言えるかもしれません。


まとめ
いかがでしたでしょうか?
会計事務所での勤務を検討されているのであれば、ぼんやりでもいいので繁忙期のイメージを持っていただいたほうが、入社後のギャップに苦しまなくていいかもしれません。
一方で繁忙期以外、特に7月や8月は思いのほかゆっくりしていますので、税理士試験勉強をしている方や、お子様の夏休みに合わせてシフトを減らしたい方などには、調整がしやすいとも言えます。

どの業界にもある繁閑の波が、特に分かりやすく大きい会計業界。
この差をどう受け取るかが、会計事務所への就職のキーポイントと言えるかもしれません。