法人経理の年間スケジュールとは?月ごと決算期別に徹底解説!

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法人経理の年間スケジュールとは?月ごと決算期別に徹底解説!

経理業務には決算月を基準に明確な年間スケジュールがあり、月ごとのタスクを把握しておけば、余裕を持って仕事を進めることが可能です。
この記事では、主に3月決算企業を基準として、経理の経験が浅い担当者の方に向けて年間の経理スケジュールと月別タスクを分かりやすく解説していきます。

未経験でこれから経理職に就きたいという方はこちらもあわせてご覧ください。
▶︎経理の仕事内容とは?業務内容や会計・財務との違いをわかりやすく解説
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【目次】

3月決算の経理の年間スケジュールを把握しよう
・4月の業務
・5月の業務
・6月の業務
・7月の業務
・8月の業務
・9月の業務
・10月の業務
・11月の業務
・12月の業務
・1月の業務
・2月の業務
・3月の業務

決算期別の具体的な経理スケジュールと準備すべきこと
・3月決算企業の1年間のタスクと重要ポイント
・12月決算企業の年間スケジュールと忙しい時期の乗り切り方
・それ以外の時期が決算月の企業の特徴と年間タスク管理法

経理業務の効率化とキャリアアップのためのヒント
・エクセルを活用した経理スケジュール管理と自動化のコツ
・クラウド会計ソフトやアウトソーシングを活用した経理業務の効率化
・子育てと両立できる経理担当者のワークライフバランス術

まとめ:経理の年間スケジュールを把握して、慌てない1年を



■3月決算の経理の年間スケジュールを把握しよう

■3月決算の経理の年間スケジュールを把握しよう
4月の業務
4月は3月決算企業にとって決算整理の重要な時期です。前年度の会計を締めくくるため、未払費用や未収収益の計上、減価償却費の計算、引当金の設定、棚卸資産の評価など、決算書の正確性を確保するための調整作業が中心となります。

例えば、3月に発生した発注や業務に対する請求書が4月に届いた場合、前年度の会計期間に適切に計上する必要があります。これらの作業は企業の財務状況を正確に反映するために欠かせません。


5月の業務
5月は、決算書作成と税務申告準備が本格化する時期です。特に中小企業は限られた人員で対応するため、計画的な業務進行が欠かせません。

主な業務は財務三表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)の作成です。また、消費税や法人税などの計算も行い、顧問税理士と協力して申告書類の準備を進めます。
法人税の申告は決算から2か月以内に行わないといけないため、遅延は許されません。普段は定時退社が出来る環境でも、この時期だけは残業が発生するという場合もあるでしょう。


6月の業務
6月は、経理の年間スケジュールにおいて企業の規模によっては特別な業務のない時期です。
上場企業では税務申告が終わり決算が確定したこの時期に、株主総会が開かれます。そのため、貸借対照表や事業報告書といった書類、株主からの質問に対する想定問答集などの準備が必要になります。
また、9名以下の法人では、従業員の住民税の特別徴収における「納期の特例」が行われる時期です。


7月の業務
7月は、第1四半期の締め作業が中心となる時期です。この月は各種資格取得を視野に入れたキャリアアップの好機でもあります。例えば、FASS検定の上期試験は5〜7月に実施されます。経理業務の効率化とスキルアップを同時に進めるチャンスと言えるでしょう。

経理におすすめの資格について詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
▶︎経理におすすめの資格一覧!未経験者向けから難易度別に紹介


8月の業務
8月は、第1四半期の決算報告の最終調整を行う時期です。四半期報告書の提出に向けて、7月に集計したデータの精査と最終確認が主な業務となります。
また、中小企業の経理担当者は半期の業績レビューを行い、当初予算との差異分析も重要なタスクです。


9月の業務
9月は上半期の締めくくりとなる重要な月です。この時期の主要業務は、中間決算の準備と半期の業績評価となります。6ヶ月間の経営状況を数字で把握し、下半期の戦略調整に活かすことが目的です。

特に中小企業では予算と実績の乖離分析が重要で、計画通りに進んでいない項目の原因究明と対策立案が求められます。中間決算は本決算のミニチュア版と考え、減価償却費の計上や引当金の見直しなど基本的な決算処理を実施しましょう。


10月の業務
10月は、上半期業績の集計と下半期に向けた準備の時期です。中間決算書の作成と取締役会への報告が重要な業務となります。

この時期は税務面でも重要で、固定資産税(第2期分)や法人住民税などの納付期限が設定されている場合があります。各自治体によって納期が異なるため、経理の年間スケジュールに正確に記載しておくことが必要です。

固定資産税が自動計算できるシミュレーションサイトを知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
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11月の業務
11月は、年末調整準備の本格化時期です。
従業員から控除証明書類を回収し、給与システムへのデータ入力準備を進めます。また、第3四半期の業績評価も重要なタスクです。これまでの業績を分析し、必要に応じて年度末までの対策を検討しましょう。

中小企業では、確定申告シーズンを見据えた準備も始まります。特に税理士との連携を強化し、決算に向けた段取りを確認することが重要です。経理データの整合性チェックを行い、伝票や証憑書類に漏れがないか確認しておきましょう。


12月の業務
12月は、3月決算企業にとって年末処理の繁忙期です。年末調整作業の最終調整と確定申告に向けた準備が中心となります。特に源泉徴収票や法定調書の作成は期限が厳しいため、計画的に進める必要があります。

また、棚卸資産の確認や減価償却資産の取得状況の確認など、年度末の決算に向けた事前準備も重要です。中小企業では限られた人員で対応するため、会計ソフトを活用した効率化がカギとなります。


1月の業務
1月は、第3四半期の締めと確定申告準備が本格化する時期です。年が明けてすぐに源泉所得税の納付と法定調書の提出があります。法定調書は1月31日が提出期限となるため、12月中に準備を進めておくと安心です。

また、3月の年度末を見据えた予算実績管理も重要なタスクとなります。第3四半期までの実績を分析し、年度末までの見通しを立てて、必要に応じて経営陣への報告資料を作成します。


2月の業務
2月は、3月決算企業にとって決算準備の本格化時期です。年度末の締めくくりに向けて、帳簿や証憑書類の最終確認が中心業務となります。特に減価償却資産の確定申告(1月31日期限)の後処理や、固定資産税(第4期分)の納付も重要なタスクです。

決算に向けた事前準備として、貸倒引当金や減価償却費の計算準備、経費精算の締め切り案内なども進めます。また、3月の繁忙期に備えた業務分担の確認も大切です。


3月の業務
3月は、3月決算企業にとって年度末決算の最終準備を行う重要な時期です。具体的には、期末の帳簿締めや決算整理仕訳の最終確認が主な業務となります。年間の経理スケジュールの集大成として、資産・負債の実在性確認や各種引当金の計上などを綿密に行います。

特に重要なのが決算書の精度を高めるための仕訳です。減価償却費の最終確認、貸倒引当金の見直し、在庫の最終棚卸結果の反映などを丁寧に行う必要があります。この時期に正確な会計処理を行うことが、適切な納税と経営判断の基盤となります。



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■決算期別の具体的な経理スケジュールと準備すべきこと

3月決算企業の1年間のタスクと重要ポイント
3月決算企業の経理業務は、年間を通じて計画的に進める必要があります。

月次業務としては、現金・預金出納帳の作成、売掛金・買掛金管理、経費精算、給与計算などがあり、これらは会社の財政状況を把握するための基礎となります。四半期ごとに業績評価や予算実績比較を行い、経営戦略の見直しに活用します。

特に重要なのが決算月の3月です。決算整理や税務申告に向けた準備が本格化するため、日頃から正確な会計処理と証拠書類の適切な保管が欠かせません。また、12月には年末調整、2月には確定申告の準備など、時期ごとに特有の業務があります。

経理業務の効率化には、クラウド会計ソフトの導入も効果的です。月次処理の自動化も進んでり、上手く活用出来れば決算期の負担を大幅に軽減できます。
税理士などの専門家と連携し、税法遵守はもちろん、適切な節税対策も検討しましょう。


12月決算企業の年間スケジュールと忙しい時期の乗り切り方
12月決算企業の経理担当者にとって、年末は年間で最も忙しい時期です。
年末調整と決算準備が同時期に重なるため、効率的な業務管理と事前準備が不可欠となります。

12月決算企業の年間経理スケジュールは、1月から決算整理仕訳がスタートし、2月に確定申告と税金納付、そして3月に株主総会へと続きます。年度途中では、4月の給与所得者異動届出書の提出、5月の自動車税納付、7月の源泉所得税納付など、月ごとに重要な業務があります。

年末の繁忙期を乗り切るコツは「早めの準備」にあります。10月末から年末調整の書類回収を始め、従業員からの提出物を早期に確認しましょう。
12月には固定資産税納付(3期目)や実地棚卸も控えているため、余裕を持ったスケジューリングを行い、経理スタッフ全員で共有出来るタスク管理が重要です。


それ以外の時期が決算月の企業の特徴と年間タスク管理法
3月・12月以外が決算となる企業の経理担当者は繁忙期がずれているため、独自の年間タスク管理が必要です。
決算月の2か月以内に税務申告を行うという点以外、前述の年間スケジュールと同じ業務が発生します。決算月から税務申告時期に他の税務申告や四半期決算、半期決算など重なる場合は、漏れのないようタスク管理とスケジュール管理が重要です。

年間を通じての管理ポイントとしては、四半期ごとに試算表の作成と検証を行い、経営状況を把握することです。また、12月の年末調整は決算期に関わらず必要な業務です。



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■経理業務の効率化とキャリアアップのためのヒント

エクセルを活用した経理スケジュール管理と自動化のコツ
エクセルは経理担当者の強力な味方です。特に経理年間スケジュールの管理においては、その真価を発揮します。

まず、年間カレンダーシートを作成し、毎月の固定業務と決算期特有のタスクを色分けして視覚化しましょう。これにより、全体の流れが一目でわかります。スプレッドシートを活用すれば、経理スタッフ全員で活用することも可能です。
さらに、エクセルのマクロ機能を活用すれば、定型業務の自動化も進められます。データ集計や帳簿作成、請求書発行などの反復作業は、適切にマクロを設定することで、大幅な時間短縮が実現できます。

詳しい活用法を知りたい方は下記記事をご覧ください。
▶︎経理で使えるエクセルのテクニック!仕事を効率化する関数や機能を解説


クラウド会計ソフトやアウトソーシングを活用した経理業務の効率化
クラウド会計ソフトの導入は、特に部門数や支社数が多い企業の経理業務効率化に大きな効果をもたらします。
ある飲食業の事例では、全国の店舗から集まる紙ベースの経費精算に時間がかかっていた問題を解決しました。よく使う科目をカスタマイズし、経費の仕訳データが会計処理に自動反映される仕組みを構築したところ、経費精算の差し戻しが90%も減少したのです。

また、あるIT企業では社員の入れ替わりが多く、採用・育成コストに悩んでいましたが、経理業務の一部をBPO企業へアウトソーシングすることで、コスト削減と業務の安定化を実現しました。

経理年間スケジュールを効率的に管理するためには、こうしたクラウド会計ソフトやアウトソーシングの活用が有効です。自社の課題に合わせた最適な方法を選びましょう。


子育てと両立できる経理担当者のワークライフバランス術
子育てと経理業務の両立は、計画的な時間管理がカギです。
経理業務の年間スケジュールを把握し、繁忙期と余裕がある時期を明確にしておきましょう。月間でいうと請求処理が集中する月末月初、年間でいうと決算月前後は特に業務量が増えるため、家族と事前に協力体制を確認しておくことが重要です。

また、前述のクラウド会計ソフトの導入を行うことで、実物の領収書や請求書がなくても作業が進められるようになり、リモートワーク導入の後押しになります。
繁忙期に子供が体調を崩して、付きっ切りではないにしろ看病が必要で出社が難しい時など、いざという時にリモートワークが可能な体制を作っておくことで業務を止めずに済みます。
また、クラウド会計ソフトは入力したデータから必要な帳票を自動作成したり、ネットバンキングと提携して出入金を記録したりなど、様々な業務の簡略化やミス防止にもつながります。
現在紙ベースで業務を進めている場合、導入を提案してみるのも良いでしょう。


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■まとめ:経理の年間スケジュールを把握して、慌てない1年を

経理業務はルーティン業務とは別に、月ごとに役割と重要度が異なるため、毎月のタスクを正しく理解し計画的に進めることが余裕ある業務運営につながります。
4月〜5月の決算対応、6月〜9月の四半期・中間決算、10月〜12月の年末調整、そして1月〜3月の年度末決算準備と、経理担当者の仕事には季節ごとの山場があります。

クラウド会計ツールの活用や早期準備の徹底によって、繁忙期もスムーズに乗り越えることが可能です。ぜひ年間スケジュールを見える化し、自分だけの経理カレンダーを作って落ち着いた1年を過ごしましょう。

アカナビでは、会計・経理に関する求人を多数掲載中。
転職を検討している方はもちろん、情報収集をされている方は是非チェックしてみてくださいね。

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