経理職は、企業活動の要となる重要な職種であり、安定した雇用と将来性が期待できる職業として注目を集めています。
経理職は未経験者でも転職が可能な職種であり、適切な準備と戦略があれば十分可能です。本記事では、未経験から経理職へ転職するために必要なスキルや資格、具体的なステップについて詳しく解説していきます。

【目次】
■経理職の仕事内容と未経験でも転職できる理由
　・経理が担当する主な業務と必要なスキル
　・未経験でも経理職に転職できる3つの理由
　・経理職の平均年収と将来性

■未経験から経理職へ転職するための具体的な準備
　・経理の基礎知識を身につけるための学習方法
　・取得しておくべき資格と学習期間
　・経理未経験でも活かせる過去の職務経験

■経理未経験者の具体的な転職活動の進め方
　・未経験でも採用される志望動機の作り方
　・未経験者が狙うべき求人の特徴と見つけ方

■経理未経験者の入社後の期待と現実
　・入社直後に任される具体的な業務
　・よくある課題と克服方法
　・1年後のキャリアステップ
　・まとめ

・経理が担当する主な業務と必要なスキル
経理は企業活動における資金の流れを正確に記録し、経営状況を把握する重要な役割を担っています。主な業務は、日々の取引の記帳、請求や振り込み、給与計算、決算書の作成など多岐にわたります。

経理職に必要な基本スキルは、簿記の知識、税務関連の法律知識、ITスキルの3つが柱となります。

まず、簿記の知識は企業の取引を正確に記録し、財務諸表や決算書を作成するために不可欠です。
次に、法人税や消費税などの税法、会社法、金融商品取引法といった基本的な法律知識は、自身で申告書を作成しない場合も知っておくと良いでしょう。
また、会計ソフトやExcelなどのITツールを使いこなすスキルも重要です。近年は振り込みや請求もネットバンキングが主流になっており、お金を正しく扱うリテラシーに直結します。

日商簿記検定や税務会計能力検定などの資格取得を目指すことで、専門知識を体系的に学ぶことができます。資格の有無は、特に未経験者が経理職への転職時に、自身のスキルを証明する重要な指標となります。

さらに具体的な仕事内容を知りたい方は以下の記事をご覧ください。
▶経理は未経験でも求人はある？



・未経験でも経理職に転職できる3つの理由
未経験者が経理職として採用されるチャンスは、意外にも多く存在します。その理由は主に3つあります。

第一に、近年の経理人材の不足により、多くの企業が未経験者の採用に積極的になっています。
経験者が転職市場に出てくるケースが少ないため、一から育成する方針を取る企業が増えているのです。
第二に、会計ソフトの進化により、経理業務の効率化が進んでいます。そのため、基本的なIT操作スキルがあれば、未経験者でも段階的に業務を習得できる環境が整っています。
第三に、営業やカスタマーサービスなど、他職種での経験が経理業務に活かせるケースが多いことです。
例えば、営業職での数値管理経験や、事務職でのデータ入力スキルは、数字を扱う経理業務との親和性が高いとされています。
日商簿記3級を取得していれば基本的な用語は理解出来ますので、あとは実務を通して学んでいけるでしょう。



・経理職の平均年収と将来性
経理職の年収は、年齢や役職、企業規模によって大きく変動します。
経理財務部が独立している企業の場合、20代中盤のスタッフ・リーダークラスでは300～450万円程度が一般的です。経験を積んで決算業務を任されるようになると、30～40代の課長クラスで500～700万円程度まで上昇します。

将来性も高く、上場企業では開示業務や連結決算を担当する専門職として、年収600～900万円を目指すことも可能です。管理部門内での昇進や、経営企画部門へのステップアップ、会計事務所やコンサルティング会社への転職など、選択肢が豊富です。
お金を使わずに経営する企業はないため、会計経理関連はコロナ禍でも影響の少なかった職種として、有事にも強い安定感と存在感を見せました。
月次決算だけではなく年次決算の取りまとめや連結決算の経験、財務分析のスキルを身につけることで、さらなる年収アップが期待できます。また、外資系企業では、同程度の経験者でも日系企業より100～200万円ほど年収が高くなる傾向がありますが、相応の英語スキルは必要になります。


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・経理の基礎知識を身につけるための学習方法
経理の基礎知識を習得するには、主に3つの方法があります。
まず、書籍による独学です。たくさんの書籍の中から自分に合ったものを自分のペースで学習できる利点がありますが、体系的な理解には時間を要します。また、法改正など最新の情報に対応出来ない場合もあるため、本当に初歩的なものに限った方が良いでしょう。

次に、オンラインや学習アプリでのe-ラーニングです。通学不要で24時間いつでも学習可能なため、こちらも自分のペースで進めることが出来ます。
専門講義やビジネススクールへの通学も効果的な選択肢です。他の手段に比べて費用がかかることと時間が固定されることはネックですが、講師から直接指導を受けられ、分からない点もすぐに確認することができ、モチベーション維持にも効果的です。

これらの学習方法は併用することで、より効果的な知識習得が可能です。経理の基礎を着実に身につけることで、未経験からの転職をより確実なものにできるでしょう。



・取得しておくべき資格と学習期間
経理職を目指す未経験者にとって、最初に取得すべき資格は日商簿記3級です。
会社の経費の記録に必要となる基本的な簿記の仕組みを学べ、3ヶ月程度の学習で合格可能です。その後、日商簿記2級に挑戦することで、より実践的な経理知識を身につけることができます。2級については約6ヶ月の学習期間が必要です。

独学での学習に加えて、経理の専門スクールやオンライン講座を活用することで、より効率的な学習が可能です。多くのスクールでは、3〜6ヶ月のカリキュラムで基礎から応用までを学べます。
これらの資格取得と学習を組み合わせることで、経理職への転職を有利に進められるでしょう。

簿記以外にも、経理職を目指す方におすすめの資格は多数あります。詳細は以下の記事を参考にしてください。
▶経理におすすめの資格一覧！未経験者向けから難易度別に紹介



・経理未経験でも活かせる過去の職務経験
経理未経験者でも、効果的に活かすことができる職務経験はあります。

例えば、営業職経験者は売上管理や数値分析の経験が、経理業務での売上データ処理や財務分析に直結します。
事務職経験者は正確なデータ入力やデータ整理のスキルが、会計ソフトへの仕訳入力や証憑書類の管理に活かせます。

また、経理部門は各部署との連携が不可欠なため、社内外とのコミュニケーション能力も重要なスキルとなります。
カスタマーサービスの経験者は、取引先や社内からの問い合わせ対応など、経理部門でも必要な折衝力を発揮できます。


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・未経験でも採用される志望動機の作り方
志望動機は、経理未経験からの転職を成功させる重要な要素です。
まず、企業の特色や経営方針を十分に調査し、その企業を志望する具体的な理由を明確にしましょう。企業のウェブサイトや求人情報、SNSなどから情報を収集し、事業内容や企業文化への理解を深めることが大切です。これは経理職に関わらず、転職活動では意識する必要があります。

志望動機では、「なぜ経理職なのか」という動機と、「なぜその企業なのか」という2つの観点を説得力のある形で表現することが重要です。
今までの業務経験の中から経理に興味をもったきっかけ、日商簿記3級などの資格取得といった経理の基礎知識習得に向けた学習状況や、前述の経理に活かせる今までの職務経験も積極的にアピールしましょう。

未経験で転職活動をする際、「なぜその企業なのか」という理由に「勉強出来る環境が整っているから」と伝えることは、本心であっても避けた方が良いでしょう。
企業はお金を払って人を育成する場ではなく、お金を払う代わりに成果を求めています。「未経験なので勉強させてもらいたい」という受け身の姿勢ではなく、「経理で貢献したい」というスタンスを前提に、「いただける勉強の機会をしっかり活かしたい」と貢献意欲を見せましょう。


・未経験者が狙うべき求人の特徴と見つけ方
経理未経験者の採用では、大手企業よりも中小企業の求人を狙うのが効果的です。
なぜなら大手よりも「幅広い業務に柔軟に対応できる人材」を求める傾向が強く、未経験者の採用に積極的だからです。
その分、経理以外に総務や人事などの他の業務を任せられる機会も増えますが、「経理アシスタント」「経理補助」「経理事務」といった求人は、伝票入力や請求書の処理など、基本的な業務から始められます。

求人検索時は、「未経験歓迎」「第二新卒可」「業界未経験OK」といったキーワードが含まれている求人は、積極的にエントリーする価値があります。
また、事業拡大に伴う増員募集は、未経験者にとって参入のチャンスとなります。すでに経理について知識のある先輩社員がいることに加え、これから拡大・成長する企業は向上心のある人材を求めている傾向があるためです。


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・入社直後に任される具体的な業務
経理未経験者が入社直後に担当するのは、主に日常的な経理業務の基礎的な部分です。
最初は現金管理から始まり、小口現金の出し入れや残高確認といった、簿記の知識を必要としない比較的シンプルな作業を任されます。

書類管理も重要な初期業務の一つです。伝票や領収書の整理、ファイリング作業を通じて、経理書類の取り扱い方を学びます。
また、経費精算では、社員から提出された領収書の確認や精算書の作成補助など、比較的単純な作業から始めることが多いでしょう。
会計ソフトへの仕訳入力も、最初のうちは上司のチェックを受けながら、簡単な取引から担当していきます。備品の在庫確認や補充といった庶務的な業務も含まれることがあります。

これらの業務を通じて、経理の基本的な知識や1か月の業務の流れ、会社特有の経理フローを理解していきます。



・よくある課題と克服方法
経理の未経験者が直面する最も一般的な課題は、会計用語や勘定科目の理解不足です。これに対しては、実務書や簿記検定テキストを用いた自己学習が効果的な対策となります。そして、分からないことはすぐに先輩社員に確認するようにしましょう。

また、経理特有の締め切り管理やスケジュール調整の難しさにも悩まされがちです。この課題は、タスク管理ツールの活用や先輩社員から管理のポイントを積極的に受け、まずは真似するところから始めましょう。

さらに、他部署とのコミュニケーションにおける専門用語の壁も大きな課題です。
経理部門は社内の様々な部署と連携する必要があり、特に営業部門との数字の確認や購買部門との支払い調整などで、経理の事情を説明するのに苦労することが多いとされています。
この問題は、基本的な経理用語の学習シートを作成し、日々の業務で使用する用語を確実に理解していくことで改善できます。



・1年後のキャリアステップ
入社から1年後には、基本的な経理業務を一通り習得し、さらなるキャリアステップに進む段階となります。
この時期には、単純な入力作業から、月次決算における財務諸表の作成補助や、売掛金・買掛金の管理など、より責任のある業務を任されるようになります。
特に大手企業では、入社1年後から部署内でのローテーションが始まるところが増え、給与計算や税務申告の補助など、新たな業務に挑戦するチャンスが増えていきます。

この時期に重要なのは、日商簿記2級などの上位資格の取得です。より専門的な知識を身につけることで、次のステージへのステップアップが可能となります。
また、年末調整や年次決算、上場企業であれば株主総会など、1年に1回しか行われない季節業務については、学習の機会も限られるため、タイミングを逃さず学び復習していくことが大切です。



・まとめ
未経験から経理職を目指すなら、まず簿記などの基礎知識とExcelスキルを身につけましょう。
経理アシスタントや補助の求人は未経験からでも採用可能性があり、小口現金や仕訳入力などを通じて実務を習得できます。

実務経験を積みながら簿記2級があれば、一層のキャリアアップが可能です。他職種の数値管理経験や事務経験もアピール材料になるため、学習と意欲次第で道は十分開かれています。

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