大手会計事務所と個人会計事務所の業務の違い

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大手会計事務所と個人会計事務所の業務の違い

コロナ禍で多くの業種が営業自粛や活動制限を余儀なくされた中、会計業界は数少ない「コロナ禍の影響が少ない業種」でした。事業を運営している限り経理の仕事はなくなりませんし、コロナ関連の補助金なども多く発布され、むしろ平時より忙しかったという声すらありました。
そうした背景もあってか、ここ2・3年で他業種、特に非常時に大きく影響を受けた業界から会計業界にキャリアチェンジしたいという転職者は、キャリアの先が長い20代の方を中心に大きく増えました。簿記の資格も「手に職」の代表格として、常に資格学校や通信講座で上位につける人気資格です。

しかし、一般企業から会計事務所にキャリアチェンジをしようとする際、注意していただきたいのは「会社規模」です。

プライム市場に上場しているような誰もが名前を知る大手企業では、従業員が何千人・何万人といるところも珍しくありませんが、会計業界では最大手のBIG4(ビッグフォー)と呼ばれる4大税理士法人でさえ1000名前後の規模です。100名を超える「大規模法人」は、日本全国でも数えられる程の件数しかありませんが、一般企業だとまだまだ数十万社は存在している珍しくもない規模感ですね。

特定の業界に絞っているのである意味当然とも言えますが、「前職と同じくらいの規模感がいいな」と思っていると、入社難易度が高いどころか存在すらしていない可能性もあります。
「一般企業と会計事務所の規模感は一桁違う」と思って、会計事務所の求人を見るようにしましょう。

■個人事務所の特徴

会計業界の9割はこちらに大別され、スタッフ1名~10名くらいの規模だと個人事業主、10名を超えてくると法人化しているところが増えてきます。
ただ、「税理士事務所」が「税理士法人」に成る条件は、税理士有資格者が2名以上が社員として所属していること。極端な話、社員税理士2名のみで税理士法人に成ることも可能なため、税理士法人=人数が多いという訳ではない点にご注意ください。

個人事務所の特徴は、良くも悪くも「自由度が高い」という点です。スタッフの人数が少なくお互いの事情を把握しやすいので、例えば制度として明文化されてなかったとしても、子育てのために在宅勤務を活用したい、専門学校通学のために時短にしたい等、いわゆる「特別扱い」も受け入れられやすくなります。代表のみで採用を行っているケースも多いので、キャリア志向や性格も似た方が集まりやすく、その点でも仲間意識が生まれやすい環境です。
一方、業務の進め方や働き方を代表の一存やスタッフ間の信頼に任せている事も多く、就業規則が定められていない、明確な昇給や昇格の規定がない、業務の属人性が高くブラックボックス化しやすい事なども「自由度が高い」の裏返しです。
大抵は人数が増える過程で整えられていきますが、それはつまり「働いている最中にどんどんルールが変わる」という意味でもあります。自分たちで制度を整えていくことや、新しい事を楽しいと思えない方は、辛い環境かもしれません。

業務内容としては、スタンダードな法人顧問業務が中心となり、顧問先の規模感もスタートアップから数十億規模まで様々です。業務も1から10まで関わることになる担当制のことが多いため、業務全体の流れをきちんと経験出来、未経験から会計事務所にチャレンジする方にとっては、会計業界で必要となる基礎的な知識や経験・業務の全容を掴むにはぴったりです。一方、先述の通り業務環境や教育体制は事務所によってかなり方針に違いがあるため、面接で十分に確認した方がよさそうです。

■大手会計事務所の特徴

先述の通り、会計事務所では100名を超えるようなところは数えられるほどしかありません。会計業界の「大企業」的ポジションとして、この業界で働いていればどこかで名前を耳にしたことがあるような法人が大半です。福利厚生や給与形態は一般中小企業と大差なく、採用や育成も含め、組織としての仕組みがある程度出来上がっています。

一般企業からの転職でも、業務環境としてあまりギャップなく馴染めることが考えられる一方、ある程度の人数・年齢層の構成が出来上がっているため、年齢によっては未経験の採用枠がない、そもそも未経験採用は新卒入社のみということもあります。
また、これくらいの規模になると複数の支社や部署に分かれている場合が大半のため、法人全体としては100名を超えていても、本社以外の支社や部署によっては数名しかいないということも珍しくありません。人数にもこだわりたい方は配属先もよく確認するようにしましょう。

業務内容としては、顧客に中小企業だけでなく上場企業も含まれるようになり、法人顧問業務だけを取っても高度な知識が要求される税務会計も増えてきます。もちろん、未経験から入社される方には、基本的なところから研修やOJTが用意されているかと思いますのでご安心ください。
この規模になると、一般的な法人顧問業務以外に経営コンサルティングや事業承継など、何かプラスアルファの特色を持っていることも多く、より幅広い業務にチャレンジすることが可能です。一方、部署や支社を作り組織的に役割分担をしていることによって、配属次第では一連の流れというより一部業務のみの経験となることもあるため、特に未経験から入社した方には「会計事務所業務の全体像」が掴みにくいままになってしまうこともあります。

■BIG4税理士法人の場合

会計業界で上記2つ以外の「BIG4」という独自のカテゴリに当てはめられるのが、四大国際会計事務所が国内の監査法人と提携して設立されたデロイトトーマツ税理士法人、KPMG税理士法人、PwC税理士法人、EY税理士法人です。日本発祥の法人ではなく、メンバーシップという形で提携した法人が世界各国にあります。

その特徴は、何と言っても圧倒的な規模感と業務領域の広さです。法人顧問はプライム市場にも上場しているような大企業が中心となっており、大企業特有の特殊な税務や国際基準会計税務など、小規模の会計事務所では取り扱えない業務を経験することが出来ます。業界最大手ということもあり、オフィス環境や福利厚生も一般大企業レベルと遜色ないレベルで、年収に至っては資格者であれば更に頭一つ抜け1000万円を超える人も珍しくありません。

その分、スタッフに対し求めるレベルも高く、学生時代から勉強を進めて20代で税理士資格を取得をされている方もいます。また、世界中の拠点にいるメンバーと協業する機会もあることから、英語力も必要となる現場が多いです。BIG4系列法人への入社は新卒が圧倒的に多く、中途で入るには更に経験も求められるため、他業種からキャリアチェンジするには経験がない分、最低でも税理士試験科目に複数合格している程度の知識がないと、周囲とのスキルギャップにご自身が苦しい思いをしてしまうかもしれません。

■まとめ

一般企業に様々な業種、やり方の企業があるように、「会計税務」という一つの業界でも、事務所ごとに方針や業務内容は幅があります。
「どこに行っても同じ」ということは絶対ありませんので、まずは求人サイトやエージェントで、色んな事務所の求人を見て比較してみましょう!


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