税理士と公認会計士の違いとは?年収や試験難易度を徹底比較

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税理士と公認会計士の違いとは?年収や試験難易度を徹底比較

「税理士になるべきか、公認会計士を目指すべきか...」
税務会計のプロフェッショナルを目指す方なら、一度は悩んだことがあるのではないでしょうか。
両者ともお金の専門家ですが、実は仕事内容や求められるスキル、そして年収まで大きく異なります。さらに、資格取得までの道のりや試験の難易度にも違いがあるため、自分に合った選択をするには、それぞれの特徴をしっかりと理解することが重要です。

この記事では、税理士と公認会計士の違いを、仕事内容から年収、試験制度まで徹底的に比較解説していきます。


【目次】
■税理士と会計士の基本的な違いと仕事内容
 ・税理士と会計士の資格の違いと独占業務
 ・主な顧客層と提供するサービスの特徴
 ・働き方と年収の違いを比較

■税理士と会計士の試験内容
 ・試験科目と合格率の詳細比較
 ・受験資格と必要な実務経験の違い
 ・科目合格制度と効率的な学習方法

■税理士と会計士の将来性・キャリアパス
 ・AIや法改正による業界の変化と今後の展望
 ・経理職からのステップアップ事例

■税理士と会計士の基本的な違いと仕事内容


税理士と会計士の資格の違いと独占業務

税理士と公認会計士は、それぞれ異なる独占業務を持つ国家資格です。
税理士の独占業務は、税務代理、税務書類の作成、税務相談の3つです。税務代理には確定申告の代行や税務調査への立会いが含まれ、税務相談では節税対策のアドバイスなども行います。

一方、公認会計士は、上場企業の会計監査や証券取引法に基づく監査業務を独占的に行う権限を持っています。これは投資家保護の観点から、企業の財務状態を第三者として客観的に監査する重要な役割です。

独占業務に関する詳しい情報はこちらもご参照ください。
公認会計士と税理士の違いとは?試験難易度・内容・年収について解説!

両資格には、独占業務以外にも幅広い業務範囲があります。
税理士は中小企業の会計顧問や経営相談、M&A支援なども行い、公認会計士はコンサルティングや株式上場支援なども手がけることが多いですが、これらは独占業務ではないので、コンサルティングが得意な税理士も、M&Aを専門にしている公認会計士もいます。
近年では、デジタル化の進展により業務内容も変化しており、より高度な専門知識とアドバイザリー能力が求められています。


主な顧客層と提供するサービスの特徴

税理士と公認会計士では、対象とする顧客層が大きく異なります。
税理士は、主に税理士法人や個人税理士事務所に所属し、中小企業や個人事業主を主な顧客とした税務申告や会計処理の支援から、経営コンサルティングまで幅広いサービスを提供しています。
税法は業界特有のものも多いため、医療法人に特化した事務所や相続税対策を得意とする事務所など、専門分野を持つ税理士事務所も多く存在します。

一方、公認会計士は主に監査法人に所属し、上場企業や大企業を対象とした会計監査業務を中心に活動します。多くの公認会計士はチームで業務を行うため、事務所は大都市圏の他、地域の主要都市にも拠点を持つことが多くなります。
また、株式公開支援(IPO)など、高度な会計サービスも提供しています。士業の中でも弁護士に次ぐ高いステータスを持つ資格として評価されています。


働き方と年収の違いを比較

税理士の年収は、大手税理士法人では800万円から1,000万円程度、中小事務所では年収400万円から700万円程度と、所属先によって大きく異なります。
開業の場合は700万円から1,000万円程度ですが、顧客数や専門性によって大きな差が生まれます。開業後の営業力や専門性が収入に大きく影響し、規模が拡大していけば3,000万円以上の高収入を得ている事例もあります。

一方、公認会計士は監査法人勤務が一般的で、BIG4と呼ばれる大手では平均1,200万円、中堅でも800万円から1,000万円の年収が期待できます。企業勤務の場合でも約800万円から1,000万円程度と高水準を維持しています。

両者のキャリアパスを比較すると、公認会計士の方が初期キャリアでの収入が安定しており、30代で1,000万円を超えることも珍しくありません。
一方、公認会計士の主な就業場所である監査法人より、税理士が多く所属する税理士法人の方が圧倒的に数が多く、事務所ごとの特色も強いため、税理士の方が新たな経験やキャリアを積みやすいという環境もあります。

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■税理士と会計士の試験内容

■税理士と会計士の試験内容

試験科目と合格率の詳細比較

税理士試験と公認会計士試験では、試験科目の構成や取得期間に大きな違いがあります。

税理士試験は、会計科目2科目(簿記論・財務諸表論)と税法科目3科目の合計5科目が必要です。2024年度の税理士試験では、財務諸表論の合格率が8.0%と大きく低下し、全体の合格率は13.5%となりました。

一方、公認会計士試験は、短答式試験4科目(財務会計論・管理会計論・監査論・企業法)と、論文式試験5科目で構成されています。2024年度の公認会計士試験の合格率は7.4%で、税理士試験と比較してもより難関な試験と言えます。

特徴的なのは、税理士試験では科目合格制度が基本となり、1科目ずつ合格を重ねていくことができます。最終的に必要な5科目に合格出来れば、取得にかかった時間は問われません。
これに対し、公認会計士試験は短答式試験に合格後、論文式試験を2年以内に合格する必要があり、合格できなかった場合は再度短答式から受けなおす必要があります。


受験資格と必要な実務経験の違い

税理士と公認会計士では、受験資格の要件に大きな違いがあります。

税理士試験の場合、会計科目については令和5年度から受験条件がなくなり、年齢・学歴・職歴問わず誰でも受験可能となりました。
税法科目については、大学等で社会学に関する科目を1科目以上修めた者、または会計事務所や金融機関などで実務経験2年以上の者に受験資格が与えられます。
実務経験としては、法人の会計事務や税理士事務所での業務補助なども認められています。
税理士資格について詳しく知りたい方はこちらもご参照ください。
税理士になるには?必要な資格や受験要件をチェック!

公認会計士試験は、学歴や実務経験に関係なく、誰でも受験することができます。
ただし、試験合格までのスケジュールが限られている点で、税理士試験とは違った難しさがあります。
公認会計士資格について詳しく知りたい方はこちらもご参照ください。
公認会計士になるには


科目合格制度と効率的な学習方法

両資格の試験対策において、効率的な学習方法の選択は合格への近道となります。
税理士試験では、科目合格制度を活用した戦略的な受験が可能です。特に簿記の受験経験がある方は、必須科目である会計学科目(簿記論・財務諸表論)から始めることで、基礎力を固めながら科目を増やしていけます。

一方、公認会計士試験では短答式試験に合格してから、論文式試験に臨む二段階方式となっています。短答式試験では基礎的な知識の習得に集中し、合格後に論文対策を本格化させる学習計画が効果的です。

監査法人や税理士法人での実務経験は、試験合格への大きな武器となります。実際の業務を通じて得られる知識は、試験勉強の効率を高め、モチベーション維持にも効果的です。最新の税法改正や会計基準の変更にも常に触れられるため、実践的な理解が深まります。
試験勉強との両立のため、残業を減らす・通学に間に合うよう勤務時間を調整するなど、受験生向けの勤務形態を備えているところも多くありますので、是非活用しましょう。

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■税理士と会計士の将来性・キャリアパス

■税理士と会計士の将来性・キャリアパス

AIや法改正による業界の変化と今後の展望

近年、AIの進化は税理士・公認会計士の業界にも大きな変化をもたらしています。特に、データ入力や仕訳作業などの定型業務では、AIによる自動化が急速に進展しています。
しかし、これは両資格の価値を低下させるのではなく、むしろ高度な専門性を発揮する機会を生み出しています。AIは会計入力や基本的な仕訳処理を自動化できますが、複雑な税務判断や法律解釈には対応できません。最終的には専門家のチェックが必要です。

そのため、税理士と公認会計士には、より付加価値の高いコンサルティング業務へのシフトが求められています。具体的には、事業承継や組織再編の提案、国際税務への対応など、高度な専門知識と経験が必要な分野での活躍が期待されています。

2019年10月から始まった軽減税率や、2023年10月のインボイス制度導入など、税制の複雑化も進んでおり、専門家の需要は依然として高い状況が続いています。
このような環境変化の中、両資格保持者には、AIツールを活用しながら、より戦略的なアドバイスを提供できる「ビジネスパートナー」としての役割が期待されています。テクノロジーの進化は、むしろ専門家の価値を高める機会となっているのです。


経理職からのキャリアチェンジ事例

経理職から税理士・公認会計士へのキャリアチェンジは、着実に増加しています。
実例として、中小メーカー企業での10年間の経理経験を活かし、40代前半で税理士試験に合格したAさんは、経理実務の知識を基に会計処理の実践的な理解を深め、効率的な試験対策を行うことができました。
会計事務所に転職した後も、企業経理側の動きが分かっていることで、顧客とのコミュニケーションがスムーズになり、顧客からの評価も上々です。

また、会計事務所以外のキャリアとしては、大手企業になると社内に顧問税理士を置いたり、CFOとして公認会計士を登用するケースもあります。その場合経理部門を統括する立場になることが多く、今まで培ってきた経理職の経験を活かしながら、更に専門的な領域で活躍出来るでしょう。


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