税理士を目指す学部・大学の選び方|受験資格を得るための最適ルートとは?

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税理士を目指す学部・大学の選び方|受験資格を得るための最適ルートとは?

中高生のうちに「税理士を目指そう」と思った時、最初の分岐点となるのが大学の学部選びではないでしょうか。
会計や税法の知識が必要な税理士資格。また、受験資格にも大学の学部は影響するため、どの学部を選べば効率よく知識を得られるのか、悩む方も多いはずです。

この記事では、税理士を目指す方に最適な学部選びのポイントと、大学生活を有効活用するための具体的なアドバイスを紹介します。

【目次】

税理士資格と大学進学の関係性
・税理士資格の取得ルート
・大学進学が税理士試験に与える影響

税理士を目指すのに最適な学部とは?
・【商学部・経営学部】試験に役立つ知識を効率的に学べる
・【経済学部・法学部】実務能力の土台が身につく
・理系学部からでも税理士を目指せるのか
・大学院の科目免除制度も視野に入れる

税理士を目指す学生必見!大学生活でやっておくと良いこと
・税理士以外の関連資格を取得する
・インターンシップで実務経験を積む
・大学の特別講座や制度を活用する
・在学中から税理士試験にチャレンジする

まとめ:税理士を目指す環境が整った学部・大学を選ぼう




■税理士資格と大学進学の関係性

税理士資格の取得ルート
税理士資格を取得するには、まず受験資格を満たした上で、税理士試験の5科目に合格する必要があります。合格が必要な試験は受験要件のない科目もありますが、中には実務経験や特定の授業を履修しているなど、受験資格を得るために必要が要件あります。

そのため、大学入学前から税理士を志している学生の場合、税理士資格取得の一般的なルートには、大学で商学部や経済学部などの関連学部で学ぶという方法があります。
税理士試験の受験要件を得られ、授業では税理士試験に直結する知識を体系的に学べるため、効率的に準備を進められます。さらに、大学院へ進学して修士論文を執筆すれば、試験科目の一部免除も可能になります。

税理士資格の詳細は、以下の記事を参考にしてください。
税理士資格取得のための科目選択法:あなたに最適なプランは?


大学進学が税理士試験に与える影響
令和6年度の税理士試験結果によると、合格者のうち大学在学・大卒者の割合は41.3%でした。
大卒者以外も多数合格しているとはいえ、税理士受験資格を得るまでに社会人経験や別の資格取得などで時間がかかるため、若くから税理士として活躍するにはやはり大学を出て必要な授業を履修しておくことが最短ルートでしょう。

大学に進学するメリットとして、税理士試験の「学識による受験資格」を取得できることや、実務に必要な知識を網羅的に得られること、専門知識を持った教授や先輩から勉強や就活で様々なサポートが得られるなどが挙げられます。
大学進学は単なる入口ではなく、税理士としての長期的なキャリア形成に影響を与える重要な選択なのです。

税理士になるための大学選びについては、以下の記事でも解説しています。
税理士を目指すなら大学で勉強すべき?資格取得方法や大学の選び方を解説


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■税理士を目指すのに最適な学部とは?

■税理士を目指すのに最適な学部とは?
【商学部・経営学部】試験に役立つ知識を効率的に学べる
商学部・経営学部は、税理士試験に役立つ科目を幅広く学べる学部です。
商学部ではビジネスの実践的側面から、経営学部では企業経営の視点から、いずれも会計学を中心とした知識を習得できます。

商学部のカリキュラムには、税理士試験科目の「会計学」が必須科目として含まれていることがメリットです。実際のビジネスの流れと共に会計学を学べるため、企業におけるお金の動きを実感しながら学習できます。
簿記の取得が単位になっているケースや、ゼミに現役税理士が講師として参加している場合もあり、実践的な学びを得る機会も多いでしょう。

一方、経営学部では企業の管理や経営手法について多角的に学びつつ、簿記・会計、法学などの知識も身につけられます。企業会計システムへの理解は、特に企業内税理士として働く際に非常に役立ちます。

どちらの学部も税理士試験に必要な会計知識を効率的に習得できる環境が整っており、将来税理士として活躍するための基礎力を養うのに適しています。


【経済学部・法学部】実務能力の土台が身につく
経済学部では、ミクロ・マクロ経済学や財政学、金融論などを学ぶことで、税法の理論的背景や経済政策との関連性を深く理解できます。統計学や計量経済学の知識は、税理士として財務データを分析し、合理的な判断を下す基礎となります。

一方、法学部では民法、商法、行政法などの法律知識を体系的に習得できます。法律の条文を読み解く力や論理的思考能力は、顧客に最適な税務アドバイスを提供する際に大きな強みとなります。

経済学部と法学部で身につく専門知識は、単に税理士試験に合格するだけでなく、実務において顧客の経営状況を多角的に分析し、最適な税務戦略を提案するための土台となります。税理士という専門職では、経済の仕組みと法律の両面から問題を捉える力が求められるため、これらの学部での学びは非常に価値があるのです。

また、これらの4つの学部では、税理士試験受験要項である「社会学に属する」授業がほぼ必修であります。選択科目に気を配らずとも、卒業すれば受験資格を得られるので、税理士を目指す方はいずれかから選ぶと良いでしょう。


理系学部からでも税理士を目指せるのか
理系学部出身者でも税理士を目指すことは可能ですが、基礎となる簿記や会計学を自力で習得しなければなりません。
また、税理士試験の受験資格の一つである「社会学に関する科目の履修」をクリアするため、他学部の授業を積極的に選択するほか、大学や予備校の特別講座を活用することが重要です。

一方、理系出身の税理士は少数派であるため、特定の業界に特化したスペシャリストとして差別化が図れるメリットがあります。医療系学部出身者が医療機関向け、理工学部出身者が製造業向けなど、専門知識を活かした税務コンサルティングが可能なためです。
近年はAIやRPAを利用した定型業務のDX化も進んでおり、プログラムを調整したり新規で組めたりするスキルがあると重宝されます。

理系から税理士への道は一見遠回りに思えますが、独自の強みを持った税務のプロフェッショナルを目指せるキャリアパスといえるでしょう。


大学院の科目免除制度も視野に入れる
平成14年4月1日以降に大学院に進学した方には、大学院修士課程を活用した税理士試験科目の免除制度が適用されます。具体的には、税法科目または会計学科目のいずれか1科目に合格していれば、研究内容が国税審議会に認定されることで残りの科目が免除されます。

この制度を見据えた学部選びでは、商学部や経済学部が有利になります。学部時代から免除を視野に入れたカリキュラム選択し、ゼミでの研究テーマを将来の大学院研究に連動させると、スムーズに科目免除への道が開けるでしょう。

税理士の大学院の科目免除制度についての詳細は、以下の記事で解説しています。合わせてご覧ください。
税理士の大学院の科目免除制度とは?おすすめの選び方も紹介


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■税理士を目指す学生必見!大学生活でやっておくと良いこと

■税理士を目指す学生必見!大学生活でやっておくと良いこと
税理士以外の関連資格を取得する
税理士を目指す大学生は、税理士試験の学習と並行して関連資格の取得にも取り組むと良いでしょう。

まずは日商簿記を受験していなければ、2級の取得を目指しましょう。可能であれば日商簿記検定1級まで目指せると、税理士試験の受験資格として認められていることに加え、就職活動でも大きな武器になります。
簿記の学習は税理士試験の「簿記論」「財務諸表論」の基礎となり、またこの2つの科目は学生のうちから受験可能です。効率的な学習計画を立て簿記の知識を深めたら、学生のうちに一度受験してみるのも良いでしょう。

資格の学習を進める際は、大学の会計系講義と連動させながら、夏休みや春休みなどの長期休暇を利用することがおすすめです。大学で開講される簿記検定対策講座を活用すれば、より効率的に学習を進められます。


インターンシップで実務経験を積む
インターンシップを通じて家計事務所で実務経験を積むことは、将来のキャリア形成に大きなアドバンテージとなります。全国の税理士法人や会計事務所では、学生向けのインターンシップを募集しているところもあり、大手では体系的なプログラムやそのまま採用に繋がるインターン制度もあります。
それ以外でも、実務未経験から応募出来る会計事務所であれば、簿記の知識やPCスキルのアピールで十分に採用の可能性があります。

インターンシップの最大のメリットは、会計スキルや税務知識だけでなく、実務におけるコミュニケーション能力も養えることです。さらに、実際に税理士の仕事を身近で見れること、キャリアパスについて相談出来ることなど、「税理士業界で働く」という目標をより現実的な目線で見れるようになるでしょう。


大学の特別講座や制度を活用する
税理士試験の合格に向けた特別講座や制度を設けている大学もあります。
例えば、税理士試験に合格した科目数に応じて受験料を補助する制度、会計専門校と提携した対策講座や、税理士事務所と連携した実践的なゼミなどが挙げられます。

これらの支援制度を効果的に活用することで、新たな学費負担を増やさずに業界の情報収集に役立てたり、講師としてきた税理士が所属する会計事務所にアルバイトとして入るチャンスが生まれたり、様々な面からメリットが得られます。


在学中から税理士試験にチャレンジする
大学在学中に1科目でも税理士試験に合格しておくと、会計業界の就職市場で大きなアドバンテージを得られます。特に税理士業界は超売り手市場で、20代の人材採用が活発であり、早期からのキャリアプランニングが功を奏します。

在学中に受験可能な科目は、会計科目の「簿記論」「財務諸表論」のみです。
学部の専門科目で学習の基礎を固めながら、大学や予備校の講座を並行活用することで、大学在学中の科目合格率を高められます。科目合格制を利用して段階的に試験に挑戦しつつ、税理士事務所でのアルバイトやインターンシップを経験することで、実務感覚も養えるでしょう。


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■まとめ:税理士を目指す環境が整った学部・大学を選ぼう

税理士を目指す方の大学・学部選びは、将来のキャリアに大きく影響します。
商学部、経営学部、経済学部、法学部などは、税理士として活躍するために必要な知識を多く学べるため、税理士試験に向けても効率的な学習が可能です。特に大学院へ進学すれば試験科目の免除制度を活用でき、合格への近道となります。

大学選びの際は、カリキュラム内容、科目免除の可能性、学内の資格取得サポート体制を比較検討しましょう。自分のキャリアプランに合った最適な進学先を選ぶことが、効率的な資格取得への第一歩となります。

違う学部で入学後に税理士という道を知った場合でも、悲観的になることはありません。
今専門的に学んでいる分野は、将来独立する時に他の税理士と差別化する強みになります。そちらもしっかりと勉強して専門性を高めつつ、選択科目で必要な学部の単位を取ったり講座に参加したりするなど、税理士試験の受験要件を整えて準備を進めましょう。

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