上場企業と非上場企業の経理、何が違うの?

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上場企業と非上場企業の経理、何が違うの?

世の中の会社は大きく2つに分けることができ、それは「上場企業」「非上場企業」か。消費者として接している分には気にすることは少ない分類ですが、従業員として働こうと思った時、特に経理事務を希望する方は是非チェックするべきポイントです。

今回は上場企業と非上場企業の違いについてまとめてみます。

■上場企業とは

上場企業は簡単に言うと、自社の株式を公開し、世間の誰でも購入できる状態にしている企業のことです。
もちろん株式会社は一番株式を持っている人が筆頭株主、つまり会社の代表になるため、無制限に株式を買われて代表がころころ変わるようなことがないよう公開される数は限られてはいますが、現在は原則として100株を1単位として購入出来るようになっています。
株式公開するか否かは会社の意思で決められますので、誰もが知っている有名な会社だとしても非上場ということはありますし、世間的な知名度が低くても上場しているということもあります。

なぜ株式を外部に公開して買えるようにしているのか、それは一言でいえば資金調達のためです。株式も会社の商品だと考えると分かりやすいでしょう。
株式の売買には証券取引所を通すことになりますが、株式が購入されることによって様々な形の資金調達が可能となり、会社の利益を拡大したり新しい事業に取り組む原資にしたりすることが出来ます。

ただ、株式という無形の商品を売る以上、当然買う側にも何かメリットがないと購入してもらえません。株主優待という形で自社の商品やサービスを還元したり、会社の業績を上げることで購入時より株式の価値を高め、売却益が出るようにしたりする必要があります。
そのため、上場企業には会社が正しく運営されているか、きちんと利益が出ているか、決算情報に不正がないかなどの法定監査が入り、年1回の株主総会での報告が義務付けられています。監査の結果、報告されている決算書に虚偽がある(粉飾決算)、著しく業績が落ちて上場基準の規模を維持出来なくなるなどの場合、上場を取り消されたり罰金などの刑事罰を受けたりすることもあります。

■非上場企業とは

非上場企業は上場企業とは逆で、自社の株式を世間に公開していない企業です。
株式は代表や役員で分け持ち、企業によってはストックオプションという制度で自社社員が購入出来るようにしていることもありますが、「誰でも自由に」購入は出来ません。

上場しない理由は様々です。新たな資金調達をしなくても会社を運営出来る状態である、今より会社を大きくする必要はない、上場に必要な基準を満たせないし満たすための準備が出来ない・・・
株式公開は資金調達や会社の知名度向上といったメリットも得られますが、その分様々な内部の制度のチェックも厳しくなり、体制を整える必要が出てきます。非上場企業が上場企業を目指す段階をIPO準備企業といいますが、そのステップの多さと整えるべき制度の煩雑さに、必要な人材やリソースを確保できずIPOを断念する企業は後を絶ちません。
また、上場出来たとしても終わりではなく、収益の出せない(株主に還元出来ない)企業とみなされると上場取り消しもあり得ます。非上場企業が上場企業を目指すことは険しい道のりなのです。

IPO準備についてはこちらのコラムでも解説していますので、興味のある方はご参照ください。
求人票で見かける「IPO準備企業」って何?

■上場企業と非上場企業の業務の違い

上場か非上場かで業務の内容に一番違いが表れるのは、経理を始めとした管理部門。
先述の通り、上場企業は上場基準を満たすために様々な内部統制や制度の設計運用、株主に向けた有価証券報告書や年次決算書の作成、株主総会の開催などが必要になります。多方面から資金が調達出来るので、取り扱う予算や財源の規模も大きくなり、作成する書類の種類や数も増えるでしょう。
そういった上場企業ならではの経理業務とは別に、日々の請求や支払い、給与計算や経費精算などの経理業務もなくなりませんので、単純に上場企業の方が仕事量が多いということです。

上場企業の規模になってくると、取引先の数も社員数も増え、到底経理スタッフ一人で対応出来る量ではなくなります。IPO準備の過程で経理部門の独立と人数の増加、それに伴う業務の細分化が進むことでしょう。
その結果、人によっては請求書作成や出入金管理といった簿記の知識がなくても出来る仕事の担当となり、経理や財務の専門スキルが身につかないといった状況が生まれる可能性もあります。

非上場の中小企業の経理だと、上場廃止した大企業などでない限り多くても4・5名程度ですから、幅広い業務を経験することが可能です。簿記の知識を活かしたり深めたり、キャリアアップに役立つ経験も出来ることでしょう。
ただ、総務や人事といった他管理部門と兼務になるケースも多く、人によっては業務過多になったり、経理業務から離れた業務がメインになっていったりすることもあるかもしれません。

■まとめ

上場企業では基準に則った透明性の高い経営が求められ、その分必要な書類や申請も多く高度な経理業務が経験出来る一方、人数が増えることによって業務の細分化が進み、経理全体の流れや特定の業務の経験が出来なくなる可能性があります。
非上場企業では人数が少ない分経理全体の幅広い業務を経験出来る一方、総務や人事など経理以外の業務を任せられる可能性があります。
仕事内容以外にも、株式を公開しているか否かで必要となる会社の制度や体制も変わるため、転職先を検討している方はしっかり企業HPも読んでおくといいですね。

とはいえ、老舗企業が倒産したり上場廃止したりも珍しくないこの時代、よりリアルな情報を知りたい方は、内部事情に精通している転職エージェントに相談するのもおすすめです。会計経理業務で転職したい方は、是非会計経理専門の求人サイト【アカナビ】や、レックスアドバイザーズで求人を探してみてくださいね!


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