採用計画を「計画」する

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採用計画を「計画」する

採用活動をする際には、ポジションに応じたスキルや経験、社内バランスを見て年齢や性別など、様々な希望条件を設定するかと思いますが、理想を上げればキリがないですよね。
「どんな人を採用したいか」という条件を設定することは、今後の企業の発展や現在働いている人を守るために必要です。ですが、それが「現実的な条件であるかどうか」という点は、分けて考える必要があります。

■それって現実的な採用計画?

「将来的な幹部候補として育てたい。今後働いてもらう期間を考えて年齢は35歳以下かな。なるべく早くマネジメントを経験してもらうことを考えると、ゼロから教育は時間がかかるし、基本的な知識として同じ業界の経験は必須だよね。同じチームがほとんど男性だから、男性の方が馴染みやすいんじゃないかな・・・」
一つ一つは無茶なことを言っているわけでもなく、一見合理的な条件設定に見えます。では、現実にこのような条件に当てはまる人は、いったいどれくらい存在しているのでしょうか?

厚労省の人口統計によると、20歳~34歳までの人数は約2300万人。これは日本の全人口の18%程度で、男性だけに絞ると約1180万人で人口の9%ほどしかおりません。
更にその中から特定の業種の経験がある、自社に通える範囲に住んでいるという条件が追加されていくと、最も人口の多い東京都(人口約1400万人のうち、20歳~34歳の男性は約117万人)だとしても、該当者は0.1%にも満たないでしょう。

条件に合致する候補者がいたとしても、候補者側にも年収や待遇などの企業に求める希望がありますし、同じような人材を欲しがる競合企業も多くあります。「なかなか応募が来ない」のも当然です。更に日本の少子高齢化を考えると、同じ条件で求人を続けていても時間がかかるほど35歳以上が増えていくだけで、残念ながら状況が改善することはありません。

一緒に働く仲間は、当然のようにその一定のラインをクリアしてきているので、自分たちが求めている人材は世の中に大勢いると錯覚してしまうかもしれません。条件設定するにあたっては、実際の数値も参考にしたうえで、実現可能な範囲かどうか考える必要があります。

■優先順位を決める

採用活動をするにあたって、方向性を決めるための優先事項のポイントは大きく3つです。

「とにかく早く採用する」スピードか、
「絶対にこの経験や資格が必要」質か、
「なるべくお金をかけない」コストか。


採用に限らず、料理や製造でも同様のことが言えますが、スピードと質とコスト、この3つ全てが並列することは、ほぼありません。スピードと質を求めればコスト(お金)がかかりますし、質とコストを求めれば時間がかかりますし、スピードとコストを求めれば質は大目に見る必要があります。

さて、今回の採用で一番譲れない条件は、もしくは諦めてもいい条件はどれでしょうか。
既に退職が決まっていてそれまでに後任が必要=スピード重視という場合、当初の希望より年齢幅やスキル要件などの条件を緩くする、つまり質を下げるか、もしくは掲載する求人媒体やエージェントを増やすなどコストをかけてでも分母を多くしないと、そもそも選考に至らないかもしれません。逆に、採用まで時間をかけられるのであれば、質を落とさずコストもかけず、じっくり待つことも出来るでしょう。

「とにかく早く採用したいけれど、条件は落とせないし、コストもかけられない」という場合、それを実現する可能性があるとすれば「他社の追随を許さないくらい雇用条件を良くする」ことです。
給与は相場以上、リモートワーク・フレックスや時差出勤・副業OK、有給は入社直後から利用可能、年間休日は130日以上で年に1回は10連休が可能・・・自社の社員から「あったらいいと思う制度」をヒアリングして全て実装出来れば、星の数ほどある求人の中から選ばれる可能性は上がるでしょう。が、それらを整える労力を考えると、優先順位を付けて採用活動をする方が早そうです。

■採用したい人が求めている条件をイメージする

採用したい条件が明確になり、優先順位を付けることが出来たら、「ではそういった人は仕事に何を求めているか」を考えてみましょう。

労働環境や給与は全てのターゲットが気になるポイントですが、例えば、経験者をターゲットにするのか、未経験者をターゲットとするのかという点では、アピールポイントは変わってきます。

具体的に未経験者には、仕事を覚えるための研修の充実具合や育成プラン、気軽に相談できる先輩や同僚がいるかどうかというフォロー体制が気になるところなので、大いにアピールする必要があります。ただでさえ未知の業界なのですから、専門用語を避け、なるべく一般的な言葉を使い、とっつきやすく感じてもらいましょう。
ですが、経験者にとっては易しい業務内容のアピールだと、「ここに転職しても今と変わらないな」となるかもしれません。経験者であれば今まで出来なかった経験、新たなことにチャレンジ出来る環境、キャリアアップが叶うといった点がアピールになるので、求人内にわざと専門用語を使っても良いでしょう。

他にも、子育て中の方をターゲットにするのであれば、業務内容や時給より、急なお休みの取り方やシフトの決め方が気になりますし、扶養内で働きたい方にとって高い時給は働ける時間の調整が必要になりネックとなる場合があります。

あるターゲットにとっては魅力的なポイントでも、他方にとっては重視していない、もしくはマイナスポイントにもなり得ます。経験者と未経験者それぞれ募集しているなど、複数方位にターゲットを想定している場合は、求人票を分けるなどして適切なアピールを行いましょう。

■まとめ

採用活動の理由にもよりますが、長引くとその分コストがかかったり、業務のフォローをしているスタッフに負荷がかかり続けたり、他の部分に無理が出てきてしまいます。

就職(転職)活動と結婚は、それ自体がゴールに見えて実際はスタートであるという点で似ているとよく言われますが、採用する側も同様、目的は「採用すること」ではなく、採用した後にやりたい事、叶えたい事、目指したい姿があるはず。なかなかうまくいかない時は、専門家も是非頼ってみてくださいね。

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