なにを基準に選べばよい? 未経験から会計事務所を選ぶ3つのポイント

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なにを基準に選べばよい? 未経験から会計事務所を選ぶ3つのポイント

様々な資格の中でも、生活に役立ち、かつ転職に有利と評判の「日商簿記」。
取得後の就職先として真っ先に候補になるのは、会計事務所や税理士法人といった会計税務業界の職場でしょう。

会計事務所や税理士法人は、国家資格を用いた専門職ということもあり、独自のルールや文化がある業界です。
異業種から会計事務所という職場に転職を考える際は、事前に業界ならではの特色を知っておくことはとても重要になります。

税理士事務所と会計事務所の違いとは?選び方のポイント徹底解説

そこで今回は「給与・労働時間・プライベートとの両立」をテーマに、会計事務所の特色を解説していきます!

■会計事務所の給与

会計事務所の業務は専門性が高く経験が必要ということもあり、資格よりも実務経験が重視される傾向にあります。
そのため、簿記の資格を持っていても業界未経験者の場合、入社時の給与水準は他業種と比較してもやや低めの傾向です。


・会計業界未経験の場合(資格:簿記3級~2級)
ほぼ育成枠としての採用となるため、給与は最低賃金に近い水準と考えた方が良いでしょう。
2026年8月現在、東京であれば時給1300円~1500円、月給25万円(年収350万~400万)程度からのスタートが標準です。

転職にあたり、人によっては大幅に収入が下がってしまう方もいるかもしれません。
会計税務業務は顧問先の会社の規模や業種、自社経理スタッフの有無によって大幅に対応内容が変わり、会社の数だけ対処法があります。更に、業務にあたっては専用のソフトを使用するため、簿記を取得しただけでは実務に対応しきれないケースが大半です。
また、税を扱う業務の特性上、1年のうち特定のタイミングでしか発生しない年末調整や確定申告、法人税申告といった季節業務もあります。
そのため、一通りの業務を経験するまで少なくとも1年はかかり、1年に1回しか経験出来ない業務を一人でこなせるようになるまでは、更に多くの時間がかかることでしょう。

教育方法は事務所によって違いますが、先輩スタッフがペアになり、OJT(On the Job Training)として1ヶ月~半年程度のレクチャーを受けることが多いようです
簿記の資格を持っていてもほとんど給与に評価が出ない点は、こうした1人前になるまでにかかる時間の長さと、それまでサポートが必要な人員配置も影響しています。


・会計業界未経験の場合(資格:税理士試験科目合格)
同じ未経験者でも、税理士試験科目に合格している場合は少し事情が変わります。
その理由としては、簿記を勉強する人と税理士試験科目を勉強する人の温度感、目的の違いからです。

簿記は取得に年齢や学歴は関係なく、適性のある人であれば2級までは独学でも十分合格出来ます。試験もコロナ前は年3回の実施でしたが、今はWEB試験が導入され、毎週のように受験可能になりました。
「学生時代、簿記2級に合格すると単位になった」「転職に役立ちそうだから」といった理由で、比較的気軽に取得される資格の一つです。

一方、税理士試験科目は税理士になることを目的とした人が対象となる試験で、勉強時間も簿記2級の倍以上必要とされるものが大半です。
勉強範囲の広さや難しさから専門学校や大学院に通う人も多く、独学の場合も通信講座で定期的に教材を受け取るなど、同じ資格でも勉強にかける時間や熱量に大きな違いがあります。
試験も年1回、そして税理士となるには5科目の試験に合格する必要があり、「ちょっとやってみよう」で始めるにはあまりにハードルが高い試験です。

備えている知識も簿記より数段上のレベルであることから、合格している科目数や内容によりますが、時給なら1400円~2000円、月給なら27~35万円(年収400万~500万)程度からのスタートが一般的です。


・会計業界未経験、経理事務経験ありの場合
「会計」と「経理」はとても近いところにある仕事ですが、「会計事務所」と「企業の経理」ではその業務内容は大きく異なります。

一般的に企業の経理では、自社に関するお金の流れのみを取り扱います。
また、企業規模により、その業務範囲も大きく変わり、専門的な経理スタッフがいない場合は日々の請求書や社員の経費精算といった最低限の業務、経理が部門として確立しているような場合は月や年ごとの決算、予算管理、税理士が所属している大企業では法人税申告まで行うこともあります。
一方、会計事務所では、自社ではなく依頼先のお金の流れを複数同時に取り扱います。そして先述の企業規模によって処理しきれなかった経理の続き、それに付随する納税代行まで行うことが一般的です。

つまり、会計事務所は基本的に企業経理の「その先」の業務がメインとなります。
企業規模によっては経理が担当する業務のうち、会計事務所で活かせる業務は「経費精算の仕訳入力」がスタートラインです。
経費をシステムに入力するだけでなく勘定科目ごとに仕訳したり、それを基にした内訳書や試算表を作成したりした経験があれば、会計事務所でも活かすことが出来るでしょう。

経理事務と会計事務所の業務の違いについて確認したい方は、こちらの記事も参照してみてください。
会計と経理の違いを徹底解説!財務や簿記との関係性やキャリアパス

会計事務所でも行う業務の経験があれば、経験年数や経験範囲にもよりますが、時給なら1400円~2000円、月給なら27~35万円(年収400万~500万)程度からのスタートが一般的です。

■会計事務所の労働時間

定時そのものは9時始業の17時、もしくは18時終業としているところが多いため、特に正社員希望の場合、事務所選びのポイントは残業ということになります。


・残業の多い時期
一番残業が増えやすいのは確定申告時期(2月15日~3月15日)です。
この時期は初めから土曜出勤が勤務カレンダーになっているところや、残業を前提とした変形労働制を取り入れているところ、パートさんにも普段よりシフトを増やすことを依頼する場合もあります。
特に2月は、12月を決算期とする法人の年度決算処理の締め切りも入ってくるため、顧客バランスによってはかなり残業が増えてしまいます。確定申告終了後は、3月決算の法人の処理が集中する5月いっぱいまで、確定申告期ほどではないにせよ残業が多くなります。

確定申告は主に個人の顧客が対象となるため、個人事業主の依頼をほとんど受けていない会計事務所では影響が少ないところもありますが、法人契約をしている企業の代表や役員が確定申告を行うケースも多いため、ゼロにはなりません。
程度の差はあれ業界全体として忙しい時期ですので、この時期の残業をゼロにするのは難しいと思って割り切った方が良いでしょう。
それでもなるべく残業時間が少ない方が良い場合、「なぜ少ないのか」という理由をはっきり書かれている求人を選ぶと安心です。


・休みを取りやすい時期
一方、法人税申告のピークが終わった6月頃から年末調整の対応が始まる11月頃までは、比較的閑散期となります。
税務職員の異動があったり、会計士試験や税理士試験も実施されたりするなど、会計業界としてのイベントは多い期間ですが、業務としてのイベントは少ない時期です。

この時期はルーティン業務が中心のため業務の調整もしやすく、税理士試験前にまとまった休みを取りたい方や、お子様の夏休みに合わせてシフトを減らしたい方も対応しやすいところが多くなっています。
そんなタイミングでも定時上りが難しいようだと、人手不足や残業が常態化している可能性があるので、面接などで今後の対策についてしっかり確認した方が良いでしょう。


■プライベートとの両立

先述の通り、会計事務所は繁閑の差が大きな業界です。
だからこそ、その特徴をうまく使い利用することが出来れば、プライベートとの両立も考えやすくなります。


・税理士試験勉強と両立したい場合
一番優先してチェックしたいのが、残業の頻度と時間です。
税理士試験勉強と仕事を両立するには、何はなくとも業務後にまとまった時間を確保出来ることが必要です。退勤後や土日に専門学校や大学院に通う方もいるでしょう。残業や休日出勤があっても、授業や試験は待ってくれません。
税理士受験生向けに残業の免除や時短制度を取り入れているところもありますが、他の人が全員残業している中、免除だからと毎日定時で帰るのも気まずいと感じる方もいると思います。
やはり事務所全体として残業は少ない環境の方が働きやすいでしょう。

もしくは、勉強に集中している間は敢えて正社員ではなく、パート・アルバイトで働くという選択肢もあります。
あらかじめシフトが決められているので時間が来たら気兼ねなく退勤出来ますし、試験前などの働き方の相談もしやすくなります。
パートというと短時間しか働けない、業務範囲に制限があるというイメージがあるかもしれませんが、例えば週5日の時短勤務、週3日や4日の定時勤務など、まとまった時間で勤務することも可能です。
業務範囲は会計事務所によって差がありますが、パートで働きたい目的を伝えたうえで希望すれば、出来る範囲の業務を任せてくれるところも多いでしょう。

また、税理士試験の時期は先述の通り、会計業界の閑散期に当たります。
連休も取りやすく、税理士受験生には別途3日~1週間程度の試験休みを付与している会計事務所もありますので、そういった制度もチェックしてみると良いでしょう。
試験休みが制度としてある会計事務所は、過去にも、もしくは現在進行形で試験勉強と両立しているスタッフがいる可能性も高いです。
そういった環境だと、試験勉強仲間がいて両立に理解が得られやすかったり、試験に役立つ実務のポイントを教えてもらえたりと、働くことで更に勉強が捗るケースもあります。


・家庭と両立したい場合
学校行事や家族の体調不良などで急なお休みや想定される場合は、まずはシフトの組み方と勤務日数・時間を確認しましょう。
シフトが曜日固定ではなかったり、1日3・4時間といった短時間から働けたりする場合、すでに同じような背景を持つスタッフが働いている可能性が高く、事情を理解してもらいやすいかもしれません。

また、平時でも朝の急な発熱やインフルエンザ等による学級閉鎖、登校中のケガや体調不良など、お子様が小さいうちは何かと急なお休みや早退が必要になることもあります。
勤務時間を月単位で調整出来るフレックス制度や、夜間に家で仕事を進められるリモートワーク制度などがあると、必要に応じて家庭と仕事を行き来しながら両立もしやすくなるでしょう。
会計業界の業務はAI活用やクラウド化も進んでおり、特にコロナ禍以降に新設された法人では、初めから資料を全てデータ化しているところも増えているので、そういった制度を持っている会計事務所を探すことは、さほど難しくはありません。

家庭との両立にリモートワーク制度は心強い制度ですが、実務経験がない方が在宅で仕事を進めるということは、業務にどんな資料が必要か、資料と会計ソフトの何が対応しているのか、そもそも自分の作業内容が合っているのか・・・といった不安や疑問がすぐに確認・相談出来ない環境に置かれるということです。
初めから活用しようとせず、慣れるまでは出社して早く仕事を覚え、いざ出社が難しい状況になった時にスムーズに移行できるよう、知識や経験を蓄えておくのが良いでしょう。


■最後に

転職というのはゴールではなく、新しい仕事の始まりです。
簿記を取って何をしたいか、何を叶えたいか、どうなりたいかを考えて、必要な環境がある職場を選びたいですね。

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