早期退職を回避したい!定着率を上げるために出来ること

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早期退職を回避したい!定着率を上げるために出来ること

売り手市場が続く採用市場で、これぞと思う方を1名採用するためにかかる時間、お金、人的リソースなどの様々なコストは、採用活動を経験された方はひしひしと大変さを感じられているかと思います。求職者に振り向いてもらうために給与や福利厚生を整え、求人広告を出し、面接のスケジュールを調整して、極力相手の希望条件に沿うようにオファーを出したにも関わらず、入社後数か月も経たず退職してしまった…と肩を落とした経験がある採用担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。

退職理由の1位は「人間関係の不和」と言われているので、こればかりは入社してみて初めて分かるということもあるでしょう。とはいえ、事前に出来ることもあります。早期退職を回避するために出来ることを考えてみましょう。

■代表と役職者だけで面接をしない

求職者と面接をするとき、一次・二次は人事担当や現場の役職者、最終面接では代表が出てくるという企業は多いと思います。それ自体は当然なのですが、選考途中で「現場で同僚となるスタッフ」や「入社後、直接指導をする先輩」と求職者を引き合わせていますか?

採用する経営側視点からすると、「任せたい業務に対して求めるスキルや経験を備えているか」「希望年収が予算に合うか」といった経営戦略視点で求職者を見る必要があるでしょう。
ですが、同僚となるスタッフにとって、それらはあまり関係ないこと。それよりも、「一緒に仕事をしていくうえでコミュニケーションを取りやすい人か」、求職者側が後輩になる立場であれば「素直に指導を聞いてくれそうか」、上長になる立場であれば「相談しやすそうか」という、「一緒に働いて上手くやっていけそうと思える人か」という方が重要です。
スキルや年収などの条件が折り合っても、現場に受け入れられなければ新入社員は孤立し、仕事の覚えも遅くなり評価も上がりません。職場にも馴染めず成果もあげられないという居心地の悪さは退職へ繋がります。

もし、現在面接を代表と役職者と人事だけで行っているのであれば、最終面接の前のタイミングで現場のスタッフに、出来れば複数名、面接同席してもらうようにしてみましょう。
ただ座って面接のやり取りを聞いてもらうだけでも、合いそう・合わなさそうという感想は得られますが、可能であれば途中で上席が10分程席を外し、スタッフと求職者だけでざっくばらんに話してもらう時間を作るのがお勧めです。求職者も、残業の頻度や有休の取りやすさなど、エライ人がいる中では聞きづらい質問もあるでしょうし、直接話してもらうことでコミュニケーションの微妙な違和感に気づくこともあります。

同席した現場スタッフからの評価が芳しくない場合は、他の条件がどれほど揃っていたとしても採用を見送った方が賢明かもしれません。現場と馴染めない新入社員が入ってくることで、周囲との調整や指導に疲れたベテラン社員の方が退職してしまい、芋づる式に組織が崩壊することは、最も避けるべき事態といえます。

■期待値を上げすぎない

星の数ほどある求人の中から選んで応募してもらうために、自社のアピールをふんだんに盛り込んだ求人票を作るところは多いでしょう。
もちろん魅力を正しく伝えることは大切です。ですが良い事ばかりの求人は、入社前の期待値を上げすぎてしまい、入社後に「聞いてた話と違う」「こんなはずじゃなかった」という失望を招きます。期待値が高ければ高いほどその反動は大きく、早期退職に繋がります。

具体的には、
・残業時間の目安を実際より少なく記載する
・「残業は少なめです」など個々の基準にゆだねる記載をする
・給与を最低保証額ではなく期待値や見込み額で記載する
・繁忙期は土曜出勤の可能性があるが「完全週休二日制」と記載する
・求人広告の写真に自社ではなくネットにある素材写真を使う
・退職予定のスタッフを面接に同席させる

といった点です。

残業時間や休日出勤の多さ、給与額面は、求職者の生活に直結します。転職先を選ぶにあたって最も重要な点だった人もいるでしょう。一方で、求職者からは直接聞きづらい項目でもあるので、求人票の時点で誤解を招かない表記が重要です。
「多い」「少ない」「出来る」「出来ない」といった表現も人によって基準値が異なるので、数字で表せることは具体的な数字を表記しましょう。それまでの環境によって、「月に20時間も残業があるなんて信じられない」と感じる人もいれば、「繁忙期に40時間程度の残業なら普通」と感じる人もいます。
「正直に残業時間の多さを書いたら誰も応募してくれない…」と悲観しなくても大丈夫。年間平均ではなく繁閑差を出したり、年次や役職ごとの違いを出したり、“現状これだけ発生してしまっている残業を減らすための増員採用である”というアピールも可能です。

素材写真を使用することは、「あると思っていたもの(人)がない」という事実が分かった時、「嘘を付かれた」という気持ちが強くなります。オフィスが古い、散らかっていて見栄えが悪いという場合でも、面接に来たら分かってしまうこと。散らかった荷物を片付けたり、机や棚を整理整頓した上で、最初からありのままを見てもらいましょう。

引継ぎを見据えて退職予定のスタッフを面接に同席させる場合もあるかもしれませんが、求職者と意気投合してしまうようなことがあると、「この人と一緒に働きたい」という属人的な入社動機が生まれる可能性があります。逆に言えば、「この人がいないならこの会社に入社する意味はない」という考えにもなりかねません。
仮に、引き継ぎを行うスタッフ同士の相性が良くなかったとしても、それは数週間から数か月で解消される問題です。1つ前の項でもお伝えいたしましたが、面接に同席させるなら、これから同僚になる人の意見を優先させましょう。

■能力を正しく把握する

「前職で同じ業界、近い業務内容を経験されているから即戦力!」と判断して、研修を簡略化したり、初日から実務を任せたりしていませんか?
従業員規模、設立年月、取り扱う商材や取引先、使用しているシステム、教育方針など、全て同じ会社はありません。むしろ経験があるからこそ、前職との違いに戸惑い、新しいやり方に馴染めないということもあるでしょう。
そんな環境の違いにも関わらず、「あなたは経験者だから」というプレッシャーに応え続けるのは大変なストレスです。

1つ前のデメリットの話と同様ですが、期待値が高ければ高いほど、実際の姿を見た時の落差を大きく感じてしまいます。これは求職者だけでなく、採用する側にも同じことが言えます。
期待を寄せる事は悪い事ではありませんし、期待された方が燃えるというタイプの方もいますが、「経験者なのに分からない(出来ない)の?」という思いが透ける言動は、間違いなくその方を傷つけるでしょう。

一口に「会計事務所で3年、法人担当経験あり」といっても、担当法人の規模や業種、使っている会計ソフトや税務ソフト、顧客訪問の頻度、アシスタントスタッフの有無などは、事務所の数だけパターンがあります。完全分業制の会計事務所から転職してくると、今までほとんど会計ソフトを使ったことがないということもあり得ます。
企業であれば業種、社員数、部署の人数、グループ会社の有無などで、経験出来る業務は変わるでしょう。中小企業で一人経理をしていた方は経理以外も含め幅広く対応出来る可能性が高いですが、税務を含めた高度な業務は会計事務所に任せているケースも多く、大企業出身だと部署の人数が多いため請求書作成だけ、経費精算だけ、といった経理の一部業務しか経験がないこともあります。

その方が「何をどれくらい出来るのか」は、具体的な数字で確認したうえで、前職と自社のギャップを埋める研修を用意しなくては、思うように能力を発揮できないまま、ストレスで潰れてたり見切りを付けられたりしてしまいます。

■まとめ

・採用面接では、現場の同僚や直属の先輩・上司の同席を
・自社の魅力やメリットだけでなく、改善点も正直に伝えて、期待値を調整する
・経験者=研修不要の即戦力ではない


まずは出来るところからの対応をしていくだけでも、人間関係・環境・業務など、様々な入社後ギャップを軽減させる効果が期待できます。すぐに退職するつもりで転職する人はいません。長く働いていただけるよう、事前にしっかり準備しましょう!

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