経理初心者向け!「利益」と「所得」の違いとは?

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経理初心者向け!「利益」と「所得」の違いとは?

「利益」と「所得」。

この2つの違いをみなさんはご存知ですか?平たく言えばどちらも「利益」なのですが、その算出の基準が「会計基準」なのか「税務基準」なのかで異なっています。

何故別の言葉で分かれているのか、分ける目的は何なのか。似ているようでまったく違う、このふたつの言葉の性質や意味についてご紹介していきます。会計事務所で勤務される方であれば知っておいて損はないはずですよ。

■利益とは?

「利益」とは決算書におけるその会社の経営結果です。会社が1年間に実現した売上高から、その売上高を実現させるために要したコスト(原価や経費)をマイナスして、残ったものを利益といいます。

では、それを会社が自由に計算できるかといえば、答えはNO。「会計基準」という会計報告や会計処理における法規範が定められており、特に株式を公開している上場企業など、自社の決算が多くの人に影響する会社などは、基準の順守が強制されています。
会計基準は同じ国内であっても選択肢があり、国際間では更に多くの選択肢があります。その基準に基づいて売上金額や原価や経費を計算し、結果としての利益が計算されることになります。

この「会計基準」は、その会社に対する株主や投資家を保護する目的で定められています。企業が各自の基準でそれぞれに都合の良い書類を作成してきてしまっては、投資家はどこが本当に利益を出しているのか、正しい経営状況や財務状況を比較・判断することが出来ません。そのため、同じ基準で作成された財務諸表が必要になるのです。

■所得とは?

一方、「所得」とは、税金を計算するうえでの利益であり、文字通り所得税として課される税金の計算基準です。法人税もこの所得に税率を計算されますが、その際は先述の利益に一定の修正を加える必要があります。どうして一度会計基準に則って計算された利益に、一定の修正が必要なのでしょうか?

それは、税金を計算するうえでの「利益」である「所得(課税所得)」には公平さが求められているからです。
決算書の段階では、予見されるコストや損失を見積もりに入れて利益を少なく見せることも出来ます。ですが、損失見積りを多く=利益が少ないことにして、利益が少ないから納税も少なくする…ということが出来てしまうと、公平さが失われてしまいますよね。
見積もりはあくまで見積もり。実際はそこまで多く損失が出なかった、コストが抑えられたなど、想定より多く利益が出る場合もあります。よって、その公平さを確保するために決算書の利益に一定の修正が加えられることとなります。

具体的には、上記の予見されるコストや損失の例でいえば、予見や見積もりの段階では保留にしておき、実際に費用や損失が確定してから税金計算に反映させることとなります。そうすることで税務上の公平を図るのが、課税所得というわけです。

■会計事務所で仕事するうえで必要な知識レベルとは?

非常に概念的なお話になってしましたが、
・利害関係者に対する成績である「利益」を会計基準によって算出
・公平さを確保するために法人税法により一定の修正を加えた「課税所得」を算出
ここまでが会計事務所における法人決算の業務となります。

しかし、最初からいきなりすべてを行うのは不可能です。まずは簿記の知識を活用し、会計仕訳入力から、決算書の作成までを一通り行うことができるようになりましょう。

課税所得の計算には法人税の知識が必要となりますが、会社の規模や市場、業界も様々ですので、「これを覚えておけば大丈夫」という近道はあまりありません。最近は会計ソフトを導入している会計事務所がほとんどですので、ある程度の計算はソフトもサポートしてくれますし、実務をしながらその都度対応することである程度の知識はついてきます。

■おわりに

会計事務所での勤務で、法人税の知識が必要になってきた際、「利益」と「所得」の違いがなんとなくでも理解できていれば、難解な法人税を習得する手助けとなってくれます。「あっそういえば!」と思ったら、ぜひこの記事のことを思い出してみてくださいね。

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